2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11547
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
北村 直也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40747101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60725068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢化 / 意欲 / マウス / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化による意欲低下は,気分の落ち込み,集中力の低下,柔軟性の低下などと同時に生じる脳の生理的現象であると推測されている。しかし,その詳細なメカニズムは明らかにされていない。仮説として,前頭葉の委縮,男性ホルモン(テストステロン)の低下,神経伝達物質(セロトニン等)の減少が挙げられている。特にテストステロンは20代以降急速に減速し,40代以降に様々な症状を生じさせると考えられている。意欲の低下は社会環境・家族環境にも支障 をきたす。勤労者世代の人口の低下や高齢者人口の増加を抱える日本にとって高齢化による意欲の低下,生産性の低下は大きな社会問題であり,早急に対策を進める必要がある。豊富な経験と知恵を持っている高齢者が,その意欲と能力を発揮できない状況は社会全体の大きな損失である。本研究では,これまでの研究成果を発展させ,高齢化による意欲の低下が生じる神経メカニズムの解明を行う。現在,マウスを1年近く飼育し続け,老齢マウスの準備が整いつつある状況である。初年度は研究結果はまだ得られていないが,サンプルの作成と行動実験解析装置の組み立てを行い,次年度より結果を得れる状況にある。また,比較的短い期間で高齢化が進むSAMマウスの使用も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度に実施予定だったマウスの意欲低下の解析実験はまとまった実験期間が必要であったが,コロナウイルス感染症拡大のため,研究に使う予定だった時間がその他の業務に使用する必要が生じたため思うように実験が進めていない。そのため,行動実験終了後に採取予定だった血液も採取できておらず,解析が進んでいない。また,研究分担者間の打ち合わせがうまく出来なかったりと,当初の計画から遅れている。 しかしながら,必要な機器の購入と解析装置の組み立ては行えており,次年度には実施できる状況にある。また,研究分担者間の打ち合わせも既に済んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
[本年度]①高齢化によるオキシトシン値と意欲の程度の関連性の解析 (担当:北村,上野)→高齢化マウスの脳内のオキシトシンや神経伝達物質の量を測定し,行動実験結果との関連性を解析する。②オキシトンの投与による意欲改善効果の解析 (担当:北村,髙橋, 上野)→高齢化したマウスにオキシトシンを投与し,意欲の改善がみられるか解析する。 ③データ解析と成果発表 (担当:北村,石原,上野)→実験結果まとめ,研究分担者間で議論して次の実験計画を詳細に練る。得られた結果を昨年度の結果と合わせ,国際学会で発表する。 [次年度]④意欲の低下を軽減させる環境因子の探索 (担当:北村,髙橋,上野)→「食事の刺激,性的刺激,運動刺激,新規環境刺激」を慢性的に与え,高齢化による意欲の低下が軽減するか解析する。⑤総括と成果発表 (担当:北村,石原,上野)→追加実験も終了し,今までの臨床データに関する報告と関連性を分析する。データをまとめ,国際学会に発表,さらには英語論文として海外雑誌に報告する。
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Causes of Carryover |
購入予定だったサーモグラフィカメラがアカデミック価格で安く購入できたため予定使用額が下回った。また,コロナウイルス感染症拡大のため思ったように実験が出来ず,購入予定だった老齢マウス(約2万円/匹)の購入が行えておらず予定使用額が下回っている。 いろいろと検討を重ね,当初の研究計画を2年目にずらし本年度に本格的に実験を行う予定である。
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