2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔マイクロバイオームとヒトの相互作用による疾患の発症機序の解析
Project/Area Number |
20K11550
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 さかえ 東北大学, 未来型医療創成センター, 講師 (20335491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの体に共生する微生物は健康に影響を与える環境要因の一つであり、炎症や免疫系など人体の仕組みと密接に相互作用し、疾患の発症にも関与している。本研究では、ヒトの遺伝的要因と口腔マイクロバイオーム(微生物叢)の多様性が糖尿病および動脈硬化症の発症にどのように関連していのるかを明らかにすることを目的とし、東北大学東北メディカル・メガバンク機構のコホート研究で収集された口腔検体を用いて解析を行った。はじめに、コホート参加者から健常群、高血糖群、高コレステロール群、高血糖/高コレステロール群を各50人選択し、16SリボソームRNA遺伝子解析および定量PCRによって唾液に存在する微生物の構成を明らかにした。公開されているヒトのゲノム変異情報および血漿メタボローム情報も参照し相関のある因子を探索した結果、健常群と比較して高血糖群および高コレステロール群で存在量が変化する微生物属をそれぞれ9種類および6種類見出した。 ヒトマイクロバイオームは居住地域や生活習慣によって構成が異なることが報告されており、日本人集団のマイクロバイオームの特徴を明らかにすることは、疾患の地域差の理解や個別化予防へつながる有用な取り組みである。本研究の成果として、唾液から高血糖および高コレステロールを予測するバイオマーカー候補が明らかになり、今後の研究により、マイクロバイオームを標的とした糖尿病および動脈硬化症の新しいリスク因子の同定や、新しい治療法につながると期待できる。
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