2020 Fiscal Year Research-status Report
Inhibitory effects of medium-chain triglycerides in hepatocarcinogenesis and metaboic syndrome
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20K11552
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
細村 直弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60402070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 寛 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40322127)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 中鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】今回、MCTを添加する食餌をDEN投与による化学肝発癌動物モデルに投与し、肝発癌抑制効果を検討した。【方法】生後2週雄性C3H/HeN種マウスに、DEN(ジエチルニトロアミン)腹腔内投与(20mg/kg)を施行した。DEN投与後より二群に分け、MCT(C=8、octanate)を添加した食餌および通常餌(脂肪成分はコーン油(ω=6リノール酸))を自由摂取させた。DEN投与後28週時点で、マウスを犠牲死させ、肝臓を採取し,肝発癌の有無、腫瘍数、腫瘍最大径を比較検討した。また、肝組織所見、腹腔内脂肪組織所見を、免疫染色を用いて病理組織学的に比較検討した。さらに、肝組織における炎症性サイトカインならびにケモカインの発現、腹腔内脂肪組織におけるサイトカインの発現をELISA法により検討した。【結果】通常餌投与(control)群と比較し、MCT投与群において肝での腫瘍数、腫瘍最大径は有意に低値を示した。また病理組織学的所見においても、肝腫瘍の増大が有意に改善された。また、肝組織における4-Hne組織免疫染色では、MCT群で脂質過酸化反応が有意に抑制されることが示唆された。肝組織でのTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、MCP-1、MIP-2の発現は、MCT群において有意に抑制された。脂肪組織におけるadiponectinの産生は、MCT群において有意に高値を認めた。【結語】化学肝発癌モデルにおけるマウス食餌へのMCT添加は、肝組織局所での抗炎症作用並びに脂肪組織における抗炎症サイトカインの発現増加による全身性の抗炎症効果により、腫瘍の増大を有意に抑制した。また脂質過酸化反応の抑制も長期的腫瘍増殖抑制に繋がったものと推測した。今回の結果より、中鎖脂肪酸投与による発癌、腫瘍進展抑制のメカニズムについて更なる検討を加えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していた検討項目は、90%終了している。現在、動物の発癌モデルでの投与効果を確認できている段階であり、その機序を解明するための検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に予定し検討できなかった項目を終了させ、令和3年から4年度にかけて施行予定の検討項目を行う。今後は、機序の解明に関する炎症への投与効果と、脂質代謝への投与効果を検討していく。
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Causes of Carryover |
令和2年度に予定していた検討項目で、施行できなかった検討項目があったため。中鎖脂肪酸の腫瘍の発症に関する機序の解明に関する検討で、炎症への投与効果の検討がまだ完了していないため。
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