2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア品質管理に着目した糖尿病における『膵β細胞の疲弊』の分子機構
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20K11563
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
青柳 共太 杏林大学, 医学部, 准教授 (50453527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / マイトファジー / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞におけるマイトファジーの分子機構を明らかにするために、本年度はまずPINK1 KOマウスとMTSマウスを交配し、PINK1 KOマウスにおけるマイトファジーについて評価を行った。その結果、通常食および高脂肪食で飼育したPINK1 KOマウスでは膵β細胞におけるマイトファジーに変化がないことが明らかとなった。また、PINK1 KOマウスは耐糖能に異常が観察されず、インスリン分泌能にも変化がないことを明らかにした。次に、高脂肪食で飼育したマウスの膵島においてParkinの発現が増強することから、膵β細胞へのParkin過剰発現によりマイトファジーが惹起できるか確認を行った。しかしながら、Parkinを過剰発現させても膵β細胞におけるマイトファジーには変化が認められなかった。これらの結果より、膵β細胞におけるマイトファジーにPINK1/Parkin経路は関与していないと結論した。 PINK1/Parkin非依存的なマイトファジーに関わる分子としてBNIP3およびNixに着目した。BNIP3やNixは低酸素依存的な転写因子であるHif-1aにより発現調節されていることから高脂肪食飼育したマウスの膵島における低酸素状態についてPimonidazoleを用いて確認を行った。すると高脂肪食飼育によりマウスの膵島が低酸素状態となり、Hif-1a量が増大していることを見いだした。またBNIP3やNixの発現量も亢進していることを見いだした。さらにノックダウン実験などにより、膵β細胞においてBNIP3やNixは低酸素になるとHif-1a依存的に発現量が増大することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵β細胞におけるマイトファジーにPINK1/Parkin経路が関与していないことを確認できた。また、PINK1/Parkin非依存的なマイトファジーに関わるBNIP3やNixが高脂肪食飼育したマウスの膵島で増加していることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞におけるマイトファジーにBNIP3やNixが関与する可能性を検討する。高脂肪食飼育したマウスに抗糖尿病薬などを投与することで膵β細胞のマイトファジーが緩和される可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
実験が順調に進み、使用したマウス個体数が当初予定よりも少なく済んだため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は来年度のマウス購入費用に充当する予定である。
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