2021 Fiscal Year Research-status Report
抗筋萎縮フラボノイドによって向上する骨格筋の機能とその調節機構の解明
Project/Area Number |
20K11581
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
向井 理恵 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (90547978)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フラボノイド / ポリフェノール / 筋萎縮 / 抗肥満 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋量とその機能を維持することは肥満に抵抗することに繋がる。植物性食品に含まれるフラボノイドのうち、いくつかのフラボノイドは廃用性筋萎縮予防効果を有する。骨格筋量の低下抑制ならびに増加促進効果を持つフラボノイドには、抗肥満効果があると考え、本検討を実施した。昨年度までに、当該フラボノイドの抗肥満効果と呼吸代謝向上作用を明らかにした。そこで、今年度は呼吸代謝やミトコンドリア代謝に関連する酵素遺伝子群の発現量解析を行った。実験用組織サンプルは普通食、高脂肪食を制限摂餌させ飼育したマウスの褐色脂肪組織、白色脂肪組織、視床下部を用いた。脂肪組織ではそのベージュ化関連遺伝子、炎症関連遺伝子ならびにレプチン感受性関連遺伝子を対象とし、それらの発現量をリアルタイムPCRで解析した。褐色脂肪組織では高脂肪食に当該フラボノイドを混ぜた餌を与えた場合にベージュ化に関連する遺伝子が増加した。白色脂肪組織では炎症性サイトカインがフラボノイドによって抑制傾向であった。視床下部では目立った変化が得られなかった。これらのことから、今回用いたフラボノイドは褐色脂肪でミトコンドリアの機能を亢進させ、白色脂肪で炎症を抑制した可能性が示唆された。これらの結果と呼吸代謝向上の結果とを併せて解析すると、普通食と高脂肪食とで当該フラボノイドが引き起こす生理作用が異なることが示唆された。高脂肪食群においては、ベージュ化や炎症抑制が認められたものの、普通食群ではこれらの効果が認められなかった。この差異については、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、年度後半に実験状況が整わずに進捗が遅れた。特に薬剤投与での筋機能破綻モデル実験の予備検討と、骨格筋内の酸化ストレス検出について、予定が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度となるため、2021年度に残している骨格筋内の酸化ストレスの検出2種類を終え、2022年度の課題である骨格筋への薬剤投与での筋機能破綻モデル構築も併せて進行させる予定である。研究に参画する学生を2名増やすことで、本課題の推進を図る予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学内への立ち入り制限が発生した影響で、予定していた人件費が発生しなかったことと、それに伴った評価系構築に遅延が起こったため余剰金が発生した。さらに、県外への出張自粛がもとめられたことにより、旅費を伴う学会発表が不可能となったために学会参加費用が発生しなかった。発表できていない研究成果を2022年に報告することと、研究の遅延を取り戻すために時間短縮が可能な実験系への研究費を投資することで、研究遅延を挽回したい考えである。
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Research Products
(4 results)