2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣がんにおけるNAC1-PEPCKによる栄養素代謝制御機構の解明
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20K11585
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
中山 真美 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (60713188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 健太郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (70346401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 糖新生経路 / セリン合成 / NAC1 / PEPCK2 / 卵巣がん / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵巣がんにおけるNAC1によるPEPCKの発現制御、そしてNAC1-PEPCKによる代謝制御機構を明らかにすることを目的としている。前年度は、PEPCK2のpromotorが、NAC1により活性化することを確認した。本年度は、PEPCK2のpromotor領域に存在する6個のNAC1認識結合配列(CATG)をアラニンで置換しmutantを作成し、5番目のCATGが最もpromotor活性に重要であることを同定した。さらにChIP assayで、NAC1はPEPCK2 promotorの5番目のCATGに直接結合することを見出した。次に、卵巣がん細胞株OV207を用いたmetabolome解析で、NAC1-PEPCK2により糖新生経路およびde-novo serine合成経路が活性化することを同定した。そしてserineを含まない培養環境下では、NAC1のknockdownによる卵巣がん細胞の増殖抑制が増強することを明らかにした。さらに、Glucoseを除いた培養環境下では、卵巣がん細胞の増殖にNAC1発現が必須であることも明らかにした。また、我々が以前報告したNAC1のco-factorであるCARM1がNAC1によるPEPCK2 promotor活性に必須であることも同定した。臨床組織検体を用いた免疫染色で、NAC1とPEPCK2の発現は相関関係にあり、両者を発現している卵巣がんは発現していないがんと比較し予後が不良であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、卵巣がんにおけるNAC1のPEPCK2制御および代謝制御機構に関する新たな知見を得ることができている。PEPCK2の制御機構に関する論文は非常に限られており、癌関連転写因子であるNAC1による制御機構の詳細を明らかにしている研究は本研究のみである。また、卵巣がんにおいて、下流の経路として同定したセリン生合成経路に関する報告も新しい知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、卵巣がん細胞株を用いて、serine生合成経路阻害薬とNAC1 knockdownの細胞増殖抑制に関するsynergistic効果の有無を確認する。また、NAC1-PEPCK2の他癌腫における発現を臨床検体を用いた免疫染色で確認し、予後との関連を解析し、他癌腫においても治療ターゲットになりうるかを明らかにする。 本研究の成果は、2022年8月16日に開催されるWorld Surgical Week(世界外科学会学術集会)の世界外科代謝栄養学会シンポジウムで発表予定である。さらに次年度には学術雑誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度出席を予定していた国際学会(世界外科学会)がオンライン開催となり、交通費、学会参加費等として使用しなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、実験に必要な物品購入、論文作成投稿費、学会参加費として使用する計画である。
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