2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11591
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
呂 鋭 中部大学, 応用生物学部, 講師 (80381862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 守 中部大学, 応用生物学部, 講師 (00612350)
横山 信治 中部大学, 生物機能開発研究所, 客員教授 (10142192)
堂前 純子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (70227700)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ABCA1 / HDL / PMF / タンゲレチン / ノビレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は食品中の機能性栄養分子がABCA1/ABCG1発現・活性制御とHDL代謝の栄養学的制御に関与する機構を明らかにし、動脈硬化性血管疾患の予防・治療における栄養学的管理の重要性を解明することである。 2020年度の研究実施計画として、①食品中に含まれる二価陽イオンZn++によりABCA1の安定性・活性への影響を調べ、その分子機構を明らかにする。②柑橘類の果皮に含まれるポリメトキシフラボノイド(PMF)のABCA1/ABCG1発現・活性への影響について検討した。マウスマクロファージ細胞株細胞J774.1及びヒト株化肝細胞 HepG2を用いこれらの栄養因子によりABCA1/ABCG1発現・活性の影響及びそのメカニズムを調べた。その研究成果、(1)Zn++はcAMPの存在下でABCA1の分解速度を顕著に低下させることによりABCA1タンパク質を増加させた。従って、細胞外apoA1誘導下の細胞内コレステロールの排出を亜鉛により増加することが認められた。また、Zn++ はカルモジュリンとABCA1の結合を促進させ、カルパインを活性化する最小量のCa++の存在下で、カルパインを介したABCA1ペプチドの加水分解を抑制した。亜鉛はABCA1の活性とHDL産生の制御に深く関わっていると考えられ、ABCA1によるHDL新生反応における重要な因子と考えられる。(2) NOBがHDL産生関連因子(のmRNA及びタンパク質発現、並びにコレステロール放出を上昇させる。そのmRNAレベルの上昇はPPARγ及びLXRαのアンタゴニストによって有意に抑制された。NOBはLXRα、PPARγを介してABCA1、ABCG1の発現を誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究目標として、① 食品中に含まれる二価陽イオンZn++によりABCA1の安定性・活性への影響を調べ、その分子機構を明らかにする。亜鉛はカルシウムと同様にカルモジュリンとABCA1の結合を促進し、ABCA1のカルパイン分解を抑制する。この結合の増加がHDL産生を促進させることを示した。これらの結果により、亜鉛はABCA1の活性とHDL産生の制御に深く関わっていると考えられ、ABCA1によるHDL新生反応における重要な因子と考えられる。この研究成果は学会および論文で発表した。② 柑橘類の果皮に含まれるポリメトキシフラボノイド(PMF)のABCA1/ABCG1発現・活性への影響について検討した。研究成果から、NOBはPPARγやLXRαを介してABCA1、ABCG1の発現を誘導することが示唆された。その経路は主にLXRαを介しており、PPARγはLXRαの転写活性を促進するネットワークとして働いている可能性が考えられる。この研究成果は学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、今まで得られた研究結果を踏まえて、さらにABCA1・ABCG1の活性について、①蛍光標識したコレステロールを用いZn++による様々な反応の条件下で細胞のコレステロール排出能を測定、Zn++のABCA1のHDL新生反応活性への影響について調べる。②蛍光標識したコレステロールを用いノビレチンの反応の条件下で細胞のコレステロール排出能を測定、ノビレチンのABCA・ABCG1のHDL新生反応活性への影響について調べる。また、ノビレチン類似体であるタンゲレチンのABCA1/ABCG1発現・活性への影響について検討する。
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