2022 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターから明らかにするビタミン輸送の全体像
Project/Area Number |
20K11592
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
松尾 道憲 京都女子大学, 家政学部, 教授 (00335308)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビタミン輸送 / ABCトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミン輸送の包括的な理解を目指して、ビタミンの膜輸送を担うタンパク質の全体像を明らかにすることを目的に実験を行った。 コレステロールを輸送するABCA1とABCG1はビタミンEの排出に関与することから、ステロールを輸送するABCG5/ABCG8もビタミンEの排出に関与する可能性があ る。令和3年度に樹立したα-TTPの高発現株を用いて、共沈降実験でABCトランスポータータンパク質とα-TTPとの相互作用について検討した。その結果、ABCG5/ABCG8とα-TTPが相互作用する可能性が示された。 ABCA1, ABCG1と同様にコレステロールを輸送するABCG5/ABCG8について、脂溶性ビタミンを輸送するか検討した。高濃度のビタミンK3は細胞毒性があるため、ABCG5/ABCG8による細胞保護効果について調べた。コントロール細胞に比べてABCG5/ABCG8発現細胞はビタミンK3の細胞毒性に対して耐性であった。また、そこに大量のビタミンK1を加えるとABCG5/ABCG8の細胞保護効果は減弱された。このことは、ビタミンK1がビタミンK3輸送を競合阻害したことを示す。ビタミンK1の輸送を調べるため、培地中と細胞内のビタミン K1をHPLC分析で調べた。その結果、ABCG5/ABCG8発現細胞はコントロール細胞に比べて細胞内のビタミンK1蓄積量が低く、細胞外への排出量が高かった。さらに、Abcg5/Abcg8ノックアウトマウスでは、血清中のビタミンK1濃度に変化が無い一方で胆汁中のビタミンK1濃度が低下していた。従って、ABCG5/ABCG8は植物ステロールのみならず、脂溶性ビタミンであるビタミンKの輸送にも関与することが示された。
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