2022 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of glycation stress, sleep and melatonin in amyloid beta aggregation
Project/Area Number |
20K11593
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
米井 嘉一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40191655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / 糖化アミロイドβ(Aβ) / メチルグリオキサール / アクロレイン / メラトニン / ミクログリア / Aβ貪食 / グリアプロテクション |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβ(Aβ)は、アルツハイマー病(AD)の発症や進行に重要な役割を果たす一方で、その生理的な役割は不明である。Aβの重合は、神経毒性の増強、難分解性化、脳への沈着をきたし、その結果Aβのクリアランスが減少する。糖尿病や「睡眠の質」低下は、アルツハイマー病発症の代表的な危険因子とされている。脂質を多く含有する脳では脂質の酸化により脂肪酸由来アルデヒド(アクロレイン、MGOなど)が生成されやすく、AD患者脳ではMGO結合型蛋白の沈着が認められる。本年度は基礎実験として、Aβクリアランスに関与するミクログリアAβ貪食に着目し、Aβの糖化とメラトニンの影響について検証した。糖化Aβは、MGOまたはアクロレイン処理によりを調製した。実験には、蛍光標識TAMRA-Aβとラットミクログリア細胞(コスモバイオ社製)を使用した。今回の実験からいくつかの新しい知見が得られた。第一にミクログリアはAβを貪食するが、糖化Aβに対する貪食能は著しく低下したこと、第二にAβ貪食能はメラトニンによって増強されたことである。また、培養ミクログリアの自然死は、Aβ添加時の方が無添加時よりも少なく、Aβがグリアプロテクション的に作用した可能性が示唆された。 以上の所見は、糖化ストレスによりAβクリアランスが低下することが知られているが、その機序としてミクログリアによるAβ貪食の低下があることを示している。進行したADは神経ネットワークの広範な破壊を伴うことから治療による機能回復は困難と言わざるを得ず、ADの発症および進展をできるだけ予防することの意義は大きいと思われる。メラトニンが「睡眠の質」向上に伴い分泌が増加するホルモンであることから、従来のAβ除去に主眼を置く治療よりも、糖化ストレス対策と「睡眠の質」向上によりAβの糖化修飾を予防することが、ADの進展予防に重要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)