2023 Fiscal Year Research-status Report
脳内報酬系レプチン-ドパミン連関を介した肥満における過食形成機序
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20K11595
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
小山 進 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (60461505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 洋輔 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (90584061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肥満 / 高脂肪食 / 脳内食報酬系 / ドパミン / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々のこれまでの研究では, 腹側被蓋野(ventral tegmental area; VTA)ドパミン神経のレプチン応答の有無や高脂肪食飼育時のドパミンを介した神経興奮性の促進を明らかにした. 高脂肪食飼育マウスは易肥満(Ob-P)群と肥満抵抗(Ob-R)群に分かれることが知られている. 今回の研究では, Ob-PマウスではOb-Rマウスに比べて, レプチン/ドパミン作用を介してVTAドパミン神経の興奮性が高まるのではないかという仮説を立て検証した. 高脂肪食飼育マウスから脳スライス標本厚さ(400 μm)を作製し, VTAドパミン神経の自発活動を細胞外記録した. 高脂肪食負荷マウスの体重分布は2つのピークに分かれた. 体重の少ないマウスの分布は, 通常の食餌で飼育された同週齢のマウスの体重分布に近かった. 体重の多いマウスの分布は, 通常食による飼育マウスのものを超えていた. 以上より, 体重が50 gを超える群をOb-Pマウス, 体重が50 g以下の群をOb-Rマウスとした. Ob-Pマウスにおけるquinpirole投与では, レプチン応答神経のnormalized firing frequency(FF)は 0.13 ± 0.06 (n = 15), 非レプチン応答神経のnormalized FFは 0.53 ± 0.10 (n = 14)であった. Ob-Pマウスにおいては, 非レプチン応答神経に対するquinpiroleの抑制は, レプチン応答神経に比べて有意に減少していた(P = 0.001). Ob-Rマウスにおけるquinpirole投与では, レプチン応答神経のnormalized FFは 0.12 ± 0.04 (n = 9), 非レプチン応答神経のnormalized FFは 0.28 ± 0.11 (n = 6)であった. Ob-Rマウスにおいては, Ob-Pマウスでみられたようなquinpiroleに対する反応の差はなかった(P = 0.139). 以上より, 高脂肪食による肥満誘発は, D2受容体を介した抑制を減弱し, 一部のレプチン作用のないVTAドパミン神経の興奮性を高めることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学実務において、役職業務の負担のため十分な研究時間を確保できなかった。特に、次のような点の欠如が大きく影響した。 1. 高脂肪食による肥満モデルマウスの安定した飼育 2. 1日約6時間程度のまとまった電気生理学的実験時間の確保
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度より、役職任期が終了し研究時間が確保できるようになったので、上記の理由1および2が改善されると考えられ、当初の計画に沿って実験を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
大学実務が多忙であったため、研究時間の確保が困難であった。今後は、実務の負担も減るので当初の研究計画に沿って実験を進める。
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