2022 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病における エーテル型リン脂質に着目した新規疾病マーカーの開発
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20K11598
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西向 めぐみ 岩手大学, 農学部, 教授 (40374730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 俊也 帝京大学, 医学部, 教授 (50151882)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エーテル型リン脂質 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の結果より、0.25%アデニン食・2週間給餌によって作製したアデニン誘導慢性腎臓病モデルマウスにアルキル型リン脂質を給餌した際の病態および体内エーテル型リン脂質動態への影響について検討を行った。 体内エーテル型リン脂質動態について、アデニン誘導によって生じた血漿中、腎臓中のエーテル型リン脂質の変動はアルキル型リン脂質の摂取により回復しなかった。しかし、給餌したアルキル型リン脂質によって血漿中エーテル型リン脂質の顕著な増加が見られることから、腎臓への関与が全くないとは言えない。アルキル型リン脂質の給餌による血漿および尿中クレアチニン濃度、腎臓中の炎症および線維化関連遺伝子発現量への影響は見られなかった。一方、組織損傷の改善および2, 8-ジヒドロキシアデニン蓄積緩和の所見が見られ、これらのことから、アルキル型リン脂質がアデニン誘導慢性腎臓病モデルにおける腎損傷の改善に部分的に作用する可能性は否めないが、腎機能回復には働かないと考えられる。 正常マウス腎臓とアデニン食摂取による慢性腎臓表マウス腎臓を用いたex vivo実験を行った。その結果、アデニン誘導による損傷を受けた腎臓では、緩衝液振盪により腎臓中炎症関連遺伝子発現量が増加、エーテル型リン脂質生合成律速酵素であるAGPS遺伝子発現量が増加した。また腎臓中コリン型アルキル型リン脂質濃度とエタノールアミン型プラスマローゲン濃度の間に負の相関が見られ、アルキル型リン脂質からプラスマローゲンへの変換が促進されていることが示唆された。
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