2021 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD必要量の検討:日光曝露によりビタミンDはどれだけ産生されるのか
Project/Area Number |
20K11606
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
名和田 清子 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (50390232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビタミンD / 日照曝露 / 食事摂取量 / 血清25水酸化 ビタミンD |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンDの特徴は、食事だけではなく、紫外線照射により皮膚でも産生されるという点にある。血清ビタミンD濃度に与える紫外線の影響は大きいと言われているが、日照曝露によるビタミンD産生量を定量化した報告は未だ少ない。日本人における日照曝露量とビタミンD産生量との関連については、国内3地域(札幌・つくば・那覇)において、顔と両手を露出した状態で、5.5μgのビタミンDを産生するに必要な日照曝露時間を調査した報告はあるが、日本人の摂取基準2020年版においても、日照曝露量は緯度や季節、天候等により大きく影響を受けることから、日照曝露によるビタミンD産生量を算出するための科学的根拠は未だ十分ではないとし、推定平均必要量・推奨量を算定するに至っていない。 そこで本年度は、新型コロナウイルス感染症感染予防対策のため、人に対する対面での測定や調査を実施することができなかったことから、日射計フィルム、全天日射計を用い、晴天日の全天日射量を測定し、その値を用いて日光曝露によるビタミンD産生量を算出した。また、日光曝露に影響する要因について、自記式の質問票を作成し、検討した。その結果、今回測定した本研究地域におけるビタミンD産生量は既報のつくば市(本研究地域と比較的緯度が近い)と同程度であると考えられた。一方,日焼け止め等による遮光の影響は大きいことが推測された。 また、ビタミンD摂取量を簡便かつ正確に評価し、その摂取方法を指導することを目的にビタミンD摂取量調査票(全13項目)の開発を行った。妥当性の検討を行った結果、食品成分表による計算値と有意な正相関を認め、食事からのビタミンD摂取量の評価に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、被検者の安全確保の観点から、被検者に対する対面での測定や調査をを行うことができなかった。また、突発的な外出制限等、日常生活活動が制限される事態が繰り返し生じ、通常とは異なる生活様式が継続しているため、通常の生活における行動調査や日光曝露量の測定が困難となり、研究の進捗状況に遅れが生じる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
季節ごとの日射計を用いた日照時間・日照量の測定及びUV Dosimeter Badge(Scienterra limited, Otago, new Zealand)による紫外線曝露量の測定、アンケート調査による日光曝露に影響する要因の検討を行い、本研究地域における日照曝露によるビタミンD産生量について仮設を立てる。 また、今年度開発したビタミンD摂取量調査票の精度をあげ、ビタミンD摂取量調査を行う。 今後、人に対する対面での測定や調査が実施できる状況となり次第、血中ビタミン等の測定を行い、本研究の目的である日光曝露によるビタミンD産生量とビタミンD摂取量のそれぞれが、血清ビタミンD濃度とどのように関連するかを定量的に検討し、ビタミンDを充足するために必要なビタミンD摂取量を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、被検者の安全確保の観点から、被検者に対する対面での測定や調査をを行うことができなかった。 今後、感染状況が好転の後、感染対策を講じた上で、順次、当初予定していた血液生化学検査、身体計測等を実施する。
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