2020 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンA栄養状態が脂質の吸収・代謝機能に及ぼす影響とその機序に関する研究
Project/Area Number |
20K11608
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
駿河 和仁 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (70315852)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビタミンA / ベータカロテン / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症に及ぼすビタミンA栄養状態の影響について検討を行った。SD系雄性ラットを5群に分け、コントロール食(C群)、高脂肪・コレステロール食(HFC群)、HFC食にビタミンAを過剰添加した食餌(A+群)、βカロテンを添加した食餌(B+群)およびビタミンAを除いた食餌(A-群)を10週齢時から19週齢時まで自由摂食させた。解剖時の体重は各群間で有意差はみられなかったが、肝臓重量はC群に比べHFC食をベースとする全群(HFC、A+、B+、A-群)で有意に増大を示していたが、食餌中のビタミンAやβカロテン添加量による差はみられなかった。また、肝臓のトリグリセリド量および総コレステロール量もC群に比べ、HFC食をベースとする全群で有意に増大を示していたが、食餌中のビタミンAやβカロテン添加量による差はみられなかった。一方、血清ALTおよびAST濃度はいずれも、C群に比べHFC群で有意に増大を示したが、A+ではHFC群に比べ低い傾向を示し、B+およびA-群ではHFC群に比べ有意に低値を示した。肝臓のビタミンA量はC群とHFC群間で有意な差はみられなかったが、HFC群に比べA+群およびB+群では有意に高く、A-群では有意に低った(検出限界以下)。これらの結果から、ビタミンAやβカロテン摂取量の違いは、HFC食摂取による肝臓のトリグリセリドや総コレステロールの蓄積に対しては明確な抑制効果を示さなかったものの、肝障害の進展に対しては抑制作用を示す可能性が示唆された。今後も、肝障害発症・進展に関わるその他の炎症関連指標や酸化ストレス関連指標についても解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、実験動物の飼育と測定の開始が遅延や中断をしていたことから、1年目の計画がやや遅れているが、現在も継続して予定の実験を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の予定していた実験計画内の未測定項目については継続して実験を行うとともに、並行して当初2年目から実施を予定していた脂質代謝関連の核内受容体機能に対するビタミンAの影響について細胞実験を予定通り開始する。
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