2021 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンA栄養状態が脂質の吸収・代謝機能に及ぼす影響とその機序に関する研究
Project/Area Number |
20K11608
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
駿河 和仁 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (70315852)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビタミンA / β-カロテン / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 核内受容体 / PPAR / LXR / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究1)昨年度からの継続研究として、非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD)の発症に及ぼすビタミンA栄養状態の影響について検討した結果、ビタミンAの摂取は高脂肪・高コレステロール食誘導性のNAFLDの発症・進展に抑制効果を示さなかったが、β-カロテンの摂取は炎症惹起因子と肝線維化促進因子の遺伝子発現を抑制しNAFLDの進展を抑制する作用が認められた。また、同様にビタミンA欠乏食摂取でもNAFLDの進展が抑制されており、この結果については当初の仮説と異なるものであり、さらに詳細なメカニズムの検討も必要である。また同NAFLDモデルラットでは、肝臓のビタミンA貯蔵能の低下だけでなく、肝臓から他の組織へのビタミンA動員能の低下の両方が起こっており、肝臓のビタミンA代謝異常を起こしていることが明らかとなった。 (研究2)ビタミンA栄養状態の違いによる脂質代謝関連核内受容体(PPARα、LXR)の機能性の検討に関する研究として、培養細胞実験系(小腸吸収細胞Caco-2BBe、肝細胞Hepa1-6)では、ビタミンA(RXRアゴニスト;9-cisレチノイン酸)はLXRアゴニスト(T0901317)によるLXR標的遺伝子発現(ABCA1、ABCG1、SREBP1c)およびLXR転写活性を相乗的に増大することが明らかとなった。一方PPARαの機能性の検討については、同様の手法で今後検討を行う。さらに、動物実験系による検討については、ビタミンA欠乏マウスを作成し、PPARαおよびLXRのアゴニスト投与に対するビタミンA負荷の有無の影響について検討を行う計画であるが、現在マウスの飼育を行っており、飼育終了次第、計画通り各解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度内に終了予定であった動物実験(研究1)の飼育と測定の会誌が遅延や中断となったことから、2年目も継続して研究を実施したが、既に終了している。2年目および3年目に予定していた研究2については、特にビタミンA欠マウスの作成が予定より時間を有しいるが、近日中に飼育終了の予定であり、飼育終了次第計画通り各解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(3年目)は研究2について、予定通り研究を進めていく。また、得られた研究成果は、学会発表や学術論文投稿のためにまとめていく。
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