2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11619
|
Research Institution | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
Principal Investigator |
桑田 仁司 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 糖尿病研究センター先端糖尿病研究部, 部長 (80771469)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂山 翔太 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 糖尿病研究センター糖尿病・内分泌研究部, 特別研究員 (70817212)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 消化吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において、たんぱく質を始めとした各種栄養素の摂取基準は健常若年者を中心に検討、作成されてきており、高齢者を対象とした摂取基準は少ない。その理由は、高齢者においては様々な合併症を有していることが多く、背景が一様ではないため一律の基準を作成することが困難であることや、そもそも、健常高齢者であったとしても様々な身体機能が低下してきている状態において、若年者と同様の消化吸収機能を有しているという前提で摂取基準を作成してもよいのかどうか不明確なところが多いためであると考える。 本研究は、これらの点を明らかにすることで、最終的に高齢者の筋肉量を維持し、フレイル、ADLの低下を防ぐことで健康寿命の延伸に寄与したい、と考え着想された。本邦高齢者におけるたんぱく質の吸収能力、利用効率を評価し、高齢者に対してのたんぱく質の必要量、指導量の確定を行い、最終的に上記目的を達したいと考えている。 計画の上では、本年度は情報収集と、研究デザインの確立などを予定していた。WEBや既報などを中心にした情報収集は十分に行えたと考えるものの、感染症の蔓延に伴う非常事態宣言など社会的情勢もあり、健常高齢者や、種々の疾患をお持ちの高齢者に対して行う予定であった研究デザインの確立は不十分となってしまったというのが現状である。今後の展開としては本年度に行えなかった高齢者を対象とした研究デザインの確定を行っていくことを予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は情報収集と、研究デザインの確立などを予定していたが、WEB上で行える情報収集は十分に行えたものの、非常事態宣言などもあり不急不要な外出が制限されたためもあり手法の検討に必要な参加者を集めることに苦慮し、ほとんど行えていないと評価せざるを得ないのが現状である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度も社会的情勢を考慮しつつの研究推進を行う。今年度未着手となった2020年度の研究実施計画を遂行する。具体的にはPFD試験と、安定同位体を用いた具体的な実験系を確立する。PFD試験は、経口で摂取したBT-PABAが、キモトリプシンによって代謝され、PABAを分離し小腸より吸収、肝臓で抱合、尿中に排泄されるトータルの過程を評価する安価で安全性の高い検査である。通常はPABAの6時間排出量を測定し、キモトリプシンの分泌能(すなわち消化能)を評価する。一方で、この試験は吸収能力の低下などのキモトリプシン分泌以外のステップ(吸収能)に問題がある場合に擬陽性となることがよく知られている。この原理を応用し、本来であればPFD試験のノイズとなる吸収力の低下を判断するためにPFD試験を改変した実験系を確立する。また、窒素安定同位体・採便によるたんぱく質吸収能評価方法の情報の収集と、研究デザインの確立、検討を行う。GMP(Good Manufacturing Practice)を獲得し、ヒトに対して使用することができると確認されている安定同位体ラベル(15N)されたアルブミンを経口摂取させ、その糞便中の安定同位体を調べることで、体内に残ったたんぱく質の量を見積もる方法を確立する。本手法は、経口で摂取された安定同位体からなる窒素が、どの程度便中に排泄されたか評価することで、高齢者に対するたんぱく質吸収機能評価の特異度の高い検査となることが考えられる。
|
Causes of Carryover |
本年度は非常事態宣言などもあり不要不急の外出が制限された。そのため本来行いたかったヒトを対象とした研究デザインの立案に不可欠なパイロット研究も制限されたため、本来予定していた支出分が軽減した。 次年度も同様に社会的情勢を考慮しつつではあるが本年度不可能であったパイロット研究を実施する予定である。
|