2020 Fiscal Year Research-status Report
Therapeutic targeting the endoplasmic reticulum stressto delay onset of Alzheimer's disease
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20K11622
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中川 敏幸 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00271502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機能性食品成分 / アルツハイマー病 / 海馬神経新生 / 統合的ストレス応答 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の学術的背景】研究代表者らは、β-アミロイドによる神経細胞死に小胞体ストレスが関与することを発見し、アルツハイマー病における小胞体ストレスの役割について研究を進めてきた。最近、小胞体ストレスがアルツハイマー病脳で活性化していることが示され、小胞体ストレスがアルツハイマー病発症の要因のひとつとして注目されている。 【研究目的】わが国で激増する高齢者の認知症患者では、肥満や糖尿病の病態である小胞体ストレスが発症や重症化の要因のひとつとして注目されている。しかしながら小胞体ストレスの制御機構の全容は未だ明らかでなく、小胞体ストレスを標的とした認知症発症予防や重症化遅延法は確立されていない。 本研究では、1) 自発回転運動を行ったアルツハイマー病モデルマウス海馬のCMAP解析を行い、運動効果を模倣する機能性食品を同定すること、2) 同定した機能性食品の小胞体ストレス制御における役割を明確化すること、3) 糖尿病およびアルツハイマー病モデルマウスの認知障害に対する機能性食品の効果を明らかにすることを目的とする。 【研究成果】令和2年度の成果として、自発回転運動を15週間行ったAPP23(B6D2-TgN [Thy1-APPswe])マウス海馬脳を用い、全転写産物発現解析を実施した。発現の変化に基づいたConnectivity MAP (CMAP)解析にて、運動時と同様な遺伝子群発現パターンを示す食品成分を探索した。低分子化合物で処理した培養細胞の遺伝子発現との類似度から、食品成分の中でフィセチンが運動時の遺伝子変化と最も高い類似度を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪食摂取による肥満を伴うアルツハイマー病モデルマウス(APP23)及び肥満糖尿病モデルマウスの海馬脳において、小胞体ストレスが活性化していることを確認した。また、小胞体ストレスの活性化に深く関与する酸化ストレスが、肥満糖尿病モデルマウスの脳において早期に亢進していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
フィセチンの海馬歯状回における神経新生および神経分化の作用と小胞体ストレスに対する制御機構を神経幹細胞培養から検討する。さらに、小胞体ストレスが海馬脳で亢進している疾患モデルマウスを用い、フィセチンの小胞体ストレスへの作用機構を個体レベルで検討する。
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Causes of Carryover |
研究は計画通り遂行し、順調に成果を得ることができたため次年度使用額が生じた。
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