2020 Fiscal Year Research-status Report
高血圧発症は若年期の食塩過剰摂取による交感神経性慢性炎症反応が原因か?
Project/Area Number |
20K11623
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉本 光佐 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (20418784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健寿 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (80165985)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 幼少期 / 高血圧 / 食塩負荷 / 交感神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、若年期の高食塩過剰摂取は成人期以降に発症する高血圧の原因かどうかを明らかにし、さらにこの若年期の高食塩負荷によって引き起こされる高血圧発症時 の交感神経活動を直接計測し慢性炎症反応に果たす役割を検討することを目的としている。そのため、1年目は、高食塩負荷のみによって高血圧が生じるかどうかを検討した。 【方法】3週齢のWistar系雄ラットを4つのグループ、Cont(通常食を摂取するコントロール群)、HS3(3-12週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)、HS7(7-12週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)、 HS3-7(3-7週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)に分けた。全群ともに12週齢時に動脈圧測定の為のカテーテルと心拍数測定の為の電極を慢性留置し、2,3日の術後回復の後、動脈圧と心拍数を3日間連続して計測した。 【結果】10週齢時点での各群の体重は、Con=347.7±9.2 g, HS3=323.9±6.8 g, SH7=361.08±5.0 g, SH3-7=335.7±4.8 gとなり、HS3群のみCont群に比べ有意に低い値を示した。動脈圧は、Con=103.4±1.8 mmHg, HS3=137.2±3.1 mmHg, SH7=112.8±3.0 mmHg, SH3-7=103.17±2.0 mmHgとなりHS3,HS7群においてCont群に比べて有意に高い値を示した。心拍数は、Con=371.2±6.3 beats/min, HS3=351.2±4.1 beats/min, SH7=334.8±5.8 beats/min, SH3-7=369.8±5.9 beats/minとなりHS3,HS7群においてCont群に比べて有意に低い値を示した。これらの結果から、通常のラット(遺伝的疾患の無)で高食塩食負荷のみで高血圧が発症することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、緊急事態宣言を始めとして大学入校に規制がかかった。本研究は、ラットのお世話を始め継続して実験する必要があり、その為スタートの遅れや、中断等で研究がやや遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究から、食塩食のみでも幼少期から成熟期まで摂取することで、動脈圧が有意に上昇し、高血圧を発症する事が確認された。ただ、8%の食塩食を長期間摂取し続けることで、成長に影響することが示唆されたため、高塩食の濃度を見直す。また、高血圧発症には、9週程度の長期間の食塩負荷が必要であることが示唆されたため、8週齢時に交感神経活動測定用の電極とテレメトリーを投与し、9週以降の交感神経活動と動脈圧の連続測定を試みる。
|
Causes of Carryover |
若干の研究の遅延が使用額の計画よりも少なかった理由である。また、今年度は、学会等もオンラインとなり、旅費の費用がかからなかった事なども原因している。
|
Research Products
(2 results)