2022 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分による認知症予防機序の解明とスクリーニングのためのバイオマーカーの構築
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20K11626
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
湯浅 明子 (小島明子) 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (90295709)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機能性食品成分 / パーキンソン病 / ロテノン / SH-SY5Y / 抗酸化応答配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度まで、パーキンソン病 (PD) モデルの作製にあたり、in vitro 実験においては6-hydroxydopamine (6-OHDA) を、in vivo実験では、ロテノンを使用していた。今回、同じ作用メカニズムでPDモデルを作製するために薬剤を統一してPDモデルを作製することを検討した。6-OHDAはきわめて不安定で酸化されてしまうこと、また、in vivo実験に6-OHDAを使用する際は、マウスの線条体内に直接投与する高度な技術を要する。そこで、ヒト神経芽細胞腫 (SH-SY5Y) にロテノンを添加すると、6-OHDAと同様の効果が認められたことから、ロテノンを使用することに決定した。 今年度は、ロテノンを使用したin vitro PDモデルを用いて、PDの予防効果を有する食品成分を探索するために様々な食品成分をスクリーニングしたところ、褐藻類に含まれるEcklonia cava polyphenol (ECP) および緑茶抽出物にロテノン誘導性の神経細胞傷害抑制効果を有することを見出した。さらに、その作用メカニズムについて検討したところ、ECPによってNrf2の核内移行が認められ、抗酸化応答配列を介して抗酸化酵素の遺伝子発現を亢進させることを見出した。一方、マウスにロテノンを経口投与してin vivo PDモデルを作製して、ECP食を摂食させた。運動機能の評価としてローターロッド試験およびポールテストを実施した。その結果、ロテノン投与マウスの運動機能は、コントロール群に比べて有意に低下したが、ECP食群の運動機能はコントロールレベルにまで回復した。また、結腸粘膜の構造は、ロテノン群では、粘膜層の短縮や不規則性および炎症が観察されたが、ECP食を摂食させると腸粘膜の異常は観察されなかった。以上の結果から、ECPは、PDの予防効果を有することが明らかとなった。
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