2020 Fiscal Year Research-status Report
転写因子MXL-3による酸化ストレス応答と栄養シグナルの統合機構の解明
Project/Area Number |
20K11630
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
安田 佳代 東海大学, 健康学部, 講師 (90822734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 正樹 東海大学, 健康学部, 講師 (10554818)
石井 恭正 東海大学, 医学部, 准教授 (20548680)
石井 直明 東海大学, 健康学部, 教授 (60096196) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化ストレス応答 / C.elegans / 栄養シグナル / MXL-3 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では実験動物であるC.elegansを用いて、MXL-3転写因子を介した酸化ストレス応答と栄養シグナル応答との関わりを調べることを目的としている。初年度は(1) MXL-3の亢進によるストレス種依存性の有無の検討および(2)栄養シグナルと酸化ストレスの関連性について解析を進めた。 申請者はMXL-3が酸化ストレス応答に関与していることを見出しているが、一方で高グルコース食が脂質代謝の亢進とともにMXL-3が活性化することが報告されている。そこで高グルコースが酸化ストレスを引き起こしMXL-3が活性化したのではないかという可能性を検討するために、Mxl-3::GFPを導入したUL1439株の線虫をCGCより入手した。高グルコース培地にて活性化の観察の検討を行ったが、報告されているような核移行の観察結果が得られなかった。そのため、蛍光強度による条件検討なども視野に入れて解析を進めている。一方、我々の先行研究において酸化ストレス負荷によってmxl-3の発現量が上昇していることから、グルコース条件下での発現量を解析した。その結果、発現量は有意に増加していたことから、mxl-3の発現量の上昇に酸化ストレスと栄養シグナルの両方が関与していることが示唆された。今後の課題として、MXL-3の活性化でも同様の確認が必要となる。 また、UL1439株のmxl-3遺伝子の発現量を解析した結果、発現量の低下傾向が見られたことから、mxl-3過剰発現体には該当しないため今後、変異体を作出する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により、学内入構禁止措置が半年取られたため研究活動を行うことが困難であった。また、アメリカにあるC.elagans genetic center(CGC) からトランジェニック株を入手する計画であったが、同じくコロナの影響により供給が停止したことなどにより遅延している。 さらに、CGCより入手したUL1439株において、論文で報告されているような観察結果が確認できないため、条件検討および確認実験などを行う必要が生じていることによって、予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はMXL-3の亢進がストレス種依存性があるかどうかを検討するため、mxl-3過剰発現体の作成などを進める。それを用いて先行研究で得られた代謝変容の解析を行い、さらに酸化ストレスの依存性の解析を行う。しかしながら、作成までに時間を要することから、同時にMXL-3のノックダウンの系においても代謝変容の確認ができるよう準備を開始し、遅れている計画を修正する予定である。 また、栄養シグナルと酸化ストレスの関連性の解析については、高グルコースが酸化ストレスを引き起こしMXL-3が活性化したのではないかという可能性を検討するため、高グルコース食に抗酸化剤を投与しMXL-3の活性化および発現量などを解析する。さらに、活性酸素量の測定を行いグルコースによる酸化ストレスの亢進を検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、大学の入構禁止措置などが取られ、研究室での活動に支障が生じたため、遅れが生じている状況である。また、アメリカからのCGCから入手も停止し、ようやく入手したTG株の表現型が報告と異なるため、確認実験を要することとなっており予定の解析が次年度となった。 今後の使用計画として、TG株の表現型の条件を検討するとともに、酸化ストレス負荷の解析を進める。また、順調に解析が進んでいる遺伝子の発現量で目的を達成できるよう、実験計画を変更することとした。 さらに、共同研究者を変更し解析を進めることにしたため、次年度に共同研究者への配算などで使用する予定である。
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