2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of lactoferrin to extension of healthy life expectancy in ovariectomized model mice
Project/Area Number |
20K11633
|
Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
出雲 信夫 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (70368976)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 卵巣摘出 / セロトニン / ラクトフェリン / PC12細胞 / ERK活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の健康寿命延伸に向けた基礎研究として、更年期障害における精神症状に対するラクトフェリンの効果を明らかにするため、卵巣摘出モデルマウスを用いた行動実験及び、ラット副腎髄質由来のPC12細胞を用いて、神経突起伸長作用のメカニズムの検討を実施した。ラクトフェリンは、初乳に多く含まれる多機能たんぱく質であり、中枢神経系への影響も示唆されている。 動物実験として、卵巣摘出術または偽手術を行った8週間後より、ラクトフェリンの投与を8週間(週6回)、強制経口投与により実施した。投与8週間後、自発運動量を測定した結果、ラクトフェリンは卵巣摘出による抑制を改善することが示された。また、マイクロダイアリシス法により、扁桃体のセロトニン遊離量を測定した結果、ラクトフェリンは卵巣摘出による低下を改善した。そこで、脳(海馬及び前頭葉)よりmRNAの抽出を行い、RT-PCR法を用い、更年期の精神症状に関係することが報告されているセロトニンの合成酵素(トリプトファン水酸化酵素)や脳由来神経成長因子(BDNF)などの遺伝子発現レベルの検討を進めている。 また細胞実験としては、PC12細胞の培養1日後にラクトフェリン単独添加もしくはラクトフェリンとERK阻害剤であるPD98059の同時添加を行った結果、神経突起伸長作用の抑制が認められたことより、ウエスタンプロット法を用いてERKのリン酸化について検討を行っている。これらの結果は、超高齢化社会における健康寿命の延伸に寄与するエビデンスの構築のため意義があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、モデル動物に対するラクトフェリンの効果を行動薬理学的観点から明らかにし、細胞実験によりそのメカニズムを検討する予定であった。今年度はPC12細胞を用いた検討よりラクトフェリンのERK活性化作用が示唆され、おおむね順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、卵巣摘出モデルマウスに対するラクトフェリンの中枢神経系への影響を明らかにするため、関連遺伝子発現レベルの検討を行う予定である。また、ラット副腎髄質由来のPC12細胞を用いて、各阻害剤添加によるラクトフェリンの神経突起伸長作用の変化を検討することにより、ラクトフェリンの作用メカニズムの解明を行う。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、学会がオンライン開催となり、旅費などの使用がなかったため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(4 results)