2021 Fiscal Year Research-status Report
魚油のオメガ3脂肪酸が不整脈予防効果を示す分子機序の解明
Project/Area Number |
20K11636
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森島 真幸 近畿大学, 農学部, 講師 (40437934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚油 / L型カルシウムチャネル / 高脂肪食 / 電気的リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動の発症や持続は、心筋に発現するイオンチャネル遺伝子の発現異常による電気的リモデリングが重要な原因となるが、その詳細な成立機序については解明されていない。今年度の研究では、高脂肪食を負荷したマウスの心筋障害に対してEPAは保護作用を示すかどうかについて検証した。C57BL/6マウスに60%高脂肪食(HF)を8週間負荷し同時にEPAを8週間経口投与した際の心機能の変化をみた。HF群では有意な体重増加と心筋収縮力の低下が確認されたが、EPAの慢性投与により部分的な改善が認められた。HF群の心房筋、心室筋におけるIL-10, IL-1b, TNF-aのmRNA発現はControl群で有意に増加したが、EPAによる改善効果はIL-10 mRNA発現でのみ認められた。一方、心房筋におけるL型カルシウムチャネルの発現はEPA投与により有意に増加することが判明した。さらに、マウス心筋細胞を用いた細胞免疫染色の結果から、EPAの投与によりCav1.2発現は有意に増加することが確認された。以上の結果から、EPAは高脂肪食負荷により障害を受けた心筋細胞に対して、イオンチャネル遺伝子の発現を増加させることで心筋の電気的リモデリング抑制に作用する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画では、EPAの心筋カリウムイオンチャネルに対するreverse remodling作用に着目していたが、実験を進めるうちにカルシウムチャネルに対する作用が顕著に出現することが判明した。このため、L型カルシウムチャネルに着目し、EPAによる発現制御機構についてマウス個体と初代培養マウス心筋細胞を用いた実験に従事した。マウス個体での心機能の変化と心筋細胞におけるEPAの直接作用を同時に検証したことで、障害を受けた心臓へのEPAの作用メカニズムにまで目を向けることができ、詳細な分子メカニズムにせまる準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
不整脈発症の一因である心筋イオンチャネルの発現異常に対して、EPAはup-streamにはたらく新規の因子であることを確立するため、EPAによるイオンチャネル遺伝子発現制御機序の解明する。このため、初代培養マウス心筋細胞に各種阻害剤やsiRNAを作用させた際のイオンチャネル発現変化に着目した実験を行う。さらに、EPAの受容体であるFree fatty acid receptor 4(FFAR4)の選択的阻害剤や標的転写因子のsiRNAを用いて、EPAによるL型カルシウムチャネル(Cav1.2)発現制御の細胞内分子メカニズムについて、分子生物学実験、ライブセルイメージング実験を取り入れ検証する。同時に、高脂肪食を負荷したマウスの心臓をランゲンドルフ灌流し、EPA投与群と非投与群の心筋収縮力の差異についてEx vivoで検証し、EPAが心機能に及ぼす影響について詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の残額は次年度にEPAによる心筋イオンチャネル発現制御に関わる細胞内分子機序についての実験試薬購入の際に使用する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Nitric oxide down-regulates voltage-gated Na+ channel in cardiomyocytes possibly through S-nitrosylation-mediated signaling2021
Author(s)
Wang P, Wei M, Zhu X, Liu Y, Yoshimura K, Zheng M, Liu G, Kume S, Morishima M, Kurokawa T, Ono K
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 11273
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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