2021 Fiscal Year Research-status Report
Cancer chemoprevention by using diarylpentanoid analog of curcumin as a functional food
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20K11643
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
柴田 浩行 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50260071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クルクミンアナログ / 制御性T細胞 / ミトコンドリア / ATP産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌細胞株SH-10-TCの培養上清を制御性T細胞(Treg)に添加するとTregがコントロールの約8倍も誘導された。食用されるクルクミンアナログGO-Y022は胃癌に対する抗腫瘍活性がある。他のアナログGO-Y030はTregの分化誘導を抑制するが、GO-Y030は食用されない。クルクミンアナログGO-Y022はクルクミンを加熱処理で生成される。すなわち、GO-Y022は食用されてきた。GO-Y022のTregの分化に与える影響を検討した。2 ng/mLのTGF-βで 誘導されるFoxp3陽性Tregは0.25 μM GO-Y022によって抑制された。GO-Y022はFoxp3 遺伝子への転写因子NFATの結合を阻止する。しかし、腫瘍形成が抑制される胃癌モデルマウスでは腫瘍局所におけるTregの浸潤はコントロールと差がなかった。Treg制御を含む、包括的なメカニズムを検討する必要がある。癌細胞ではワールブルグ効果によって糖代謝が改変される。GO-Y022処理は胃癌細胞SH-10-TC の糖分解を促進し、ATP産生を増大させた。他の胃がん細胞株GCIYでも同様である。GO-Y022処理はSH-10-TCのTGF-β産生を抑制したが、乳酸の産生は亢進していた。100 μMの乳酸存在下で、GO-Y022処理によるTregの分化は抑制せず、SH-10-TCとT細胞の共培養でも5 μMGO-Y022処理でTregの分化誘導を認めず、癌細胞由来の乳酸がTregの分化誘導を阻害すると思われた。そこで、解糖系を阻害する2-デオキシグルコース(2DG)を加えたところ、共培養の実験系でもTregの分化誘導は抑制された。2DGを加えても、SH-10-TCに対する殺細胞効果は変わらないが、GO-Y022と2DGを併用すると殺細胞効果は1.5倍に増加した。この現象はGCIYにおいても認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroで、クルクミンアナログGO-Y022が制御性T細胞(Treg)の分化を抑えることで抗腫瘍性免疫を発揮する可能性が示唆された。しかし、より複雑系であるin vivoでは、GO-Y022による十分なTregの局所浸潤の抑制が観察されなかった。このように癌細胞とTregとの相互作用があることが示された。つまり、GO-Y022の癌細胞に対する抗腫瘍活性が、癌細胞のミトコンドリアのATP産生を促進し、癌細胞からの乳酸産生の亢進が、結果的にはTregの分化抑制にはマイナスに作用している可能性が浮上した。このように、癌細胞の制御を考える場合、癌細胞自体の問題と癌細胞が存在する微小環境の問題の両者を考慮に入れる必要がある。さらに、GO-Y022の抗腫瘍活性は癌細胞の糖代謝の制御としても捉え直すことができるのではないかと考えるに至った。これは癌細胞の特徴であるとともにアキレス腱でもある。糖代謝を標的とした癌細胞の制御方法の開発は癌薬物療法の新たな突破口となる可能性があり、新たな発見であるとともに方向性が示されたと考えている。また、糖代謝の制御がTregの制御にも影響することが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
GO-Y022は多機能性化合物である。この多機能性をさらに包括的に捉えるには未発見の制御分子の同定や、それらを介した制御機構を解明してゆく必要がある。そのために、まず、癌細胞のタンパク質発現への影響を網羅的に捉えるために培養細胞を用いたプロテオーム解析を進めていく。結果については現在、解析を行っている。複数のタンパク質がGO-Y022の処理によって変動することが判明しているが、さらに、in vivoの複雑系において、実際にこれらのタンパク質の消長について解析を行う予定である。得られた結果から、GO-Y022の多機能な抗腫瘍機構の仮説を構築し、さらに、これをシンプルな実験系に落とし込んで、仮説の検証を行う。最終的には、いまだに多数の曖昧さがつきまとう機能性食品を用いた発癌予防や癌治療について、より確実性の高いアプローチについて確立すべく、そのメカニズムを詳細に解明してゆく。
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Causes of Carryover |
ディスポーザブルピペットチップの節約、細胞数カウント用のディスポーザブルの血球計算盤について再利用を行うなど経費節減に努めた結果、出費が抑制されたため。
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Research Products
(4 results)