2020 Fiscal Year Research-status Report
運動実践は口腔内細菌叢の異常を改善し歯周病に関連した脂肪性肝炎を改善する
Project/Area Number |
20K11644
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内田 文彦 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (70736008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英雄 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400672)
呉 世昶 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10789639)
岡田 浩介 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80757526)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / NAFLD / 歯周病 / 運動療法 / 細菌叢 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,運動療法によるNAFLDの優れた改善効果が明らかになっている.NF-E2 related factor 2(Nrf2)は侵害刺激に対して,生体が発動する防御機構を制御する転写因子であり,我々の動物実験より運動はNrf2を活性化することが判明している.運動療法によるNAFLDの改善効果にはNrf2活性化が介在し,炎症や線維化の改善する可能性がある.本研究では有酸素性運動がNrf2を活性化するか,また,それに関連してNAFLDの肝病態改善効果を検討した.NAFLD男性肥満者(BMI:28.8kg/m2)を対象とした.2014-2015年の3ヶ月間の運動療法(有酸素性運動)群(E)24名(年齢:49.7歳)と食事療法群(D)21名(年齢:53.2歳)について,NAFLDの病態関連因子,炎症・酸化ストレス因子,末梢血白血球におけるNrf2標的分子の遺伝子発現量の解析を行い, 比較検討した.各検査項目の介入前後差を算出したところ, EとDに体重(E<D),体脂肪量(E<D),除脂肪量(E>D),肝脂肪(E<D)肝弾性度(NS),HOMA-IR(E<D),AST(NS),ALT(NS)であった.炎症・酸化ストレス因子のferritin(E>D),TBARS(NS),adiponectin(NS),leptin(NS)であった。各Nrf2標的分子の遺伝子発現を定量した結果, logNQO1(NS), logHO-1(E>D),Catalase(E>D),GCLM(E>D),GCLC(E>D),GPX(NS)であった.有酸素性運動は体重の減少は軽微であるが骨格筋量を維持し,様々な炎症や酸化ストレス障害を改善させ,NAFLDの治療効果を発揮すると考えられた.運動はNrf2活性化を介した抗炎症・酸化ストレス応答を誘導する可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中高度肥満者に対する3ヶ月間の運動療法のNAFLDに対する臨床病態学的効果について解析を終えた.それらの研究成果は学会報告に至った.有酸素性運動は体重の減少は軽微であるが骨格筋量を維持し,様々な炎症や酸化ストレス障害を改善させ,NAFLDの肝病態を改善させる治療効果を発揮すると考えられた.運動は体重減少に依存せずにNrf2活性化を介した抗炎症・酸化ストレス応答を誘導する可能性があることを示すことが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,男性の中高度肥満者に3ヶ月間の運動療法の前後において採取した唾液および糞便中細菌叢のメタゲノム解析を実施し, 臨床データと比較検討する. 肥満者の口腔内dysbiosisの改善を介したNASH肝病態の改善とその分子メカニズムについて解明する.
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Causes of Carryover |
研究計画は概ね予定通りであるが、消耗品の購入不備があり、残額が生じた。次年度の消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)