2021 Fiscal Year Research-status Report
新規なインスリン抵抗性増悪因子XORの生理的・病態生理的役割の解明
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20K11654
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 博亮 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20323595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 千尋 順天堂大学, 医学部, 助教 (90645037)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 糖尿病 / XOR |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病の病態においてインスリン抵抗性の発症機序を解明することは糖尿病治療戦略において重要な課題である。高尿酸血症とインスリン抵抗性や肥満との間に正の相関を示すことが多くの観察研究で報告されているが、因果関係は不明である。 本研究では尿酸の産生に重要な酵素であるXORに着目し,XOR阻害薬フェブキソスタットを用いてXORがインスリン抵抗性に及ぼす影響を検討した。 我々は高インスリン血症-正常血糖グルコースクランプ実験により、フェブキソスタットが末梢組織でのインスリン感受性を改善することを解明した。しかし、フェブキソスタットが骨格筋でのみインスリン抵抗性を改善する正確なメカニズムは不明である。そこで、骨格筋細胞であるC2C12細胞を用いて、フェブキソスタットがインスリンシグナルに及ぼす影響を検討した。C2C12細胞にフェブキソスタットを添加すると、インスリン刺激によるAktのリン酸化が約50%有意に増加した。この結果は、フェブキソスタットが骨格筋に直接作用することが示唆された。この作用がXORに関与しているかどうかを検討するために、XOR-RNAiアデノウイルスを感染させ、XOR遺伝子をノックダウンしたC2C12細胞を用いてフェブキソスタットがインスリンシグナルに及ぼす影響を検討した。 Xor mRNAの発現は、XOR-RNAiアデノウイルスを感染させたC2C12細胞において約90%(P <0.01)有意に減少した。インスリン刺激による Aktのリン酸化は、XORをノックダウンさせたC2C12細胞において約50%有意に増加した。しかし、XORノックダウンしたC2C12細胞において、10μMフェブキソスタットはAktのリン酸化を有意に変化させなかった。これらの結果はフェブキソスタットが骨格筋のXORを直接抑制することにより、骨格筋のインスリン抵抗性を改善することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋細胞を用いて、XOR阻害薬であるフェブキソスタットによるインスリン抵抗性改善作用機序を解明することができ、XORが骨格筋においてインスリン抵抗性の病態にも深く関与している可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
フェブキソスタット投与により肝臓でのインスリン感受性に影響を及ぼさなかったが、脂肪肝が増悪した。この機序を解明する
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