2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規なインスリン抵抗性増悪因子XORの生理的・病態生理的役割の解明
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20K11654
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 博亮 順天堂大学, 医学部, 教授 (20323595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 千尋 順天堂大学, 医学部, 助教 (90645037)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 糖尿病 / XOR |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病の病態においてインスリン抵抗性の発症機序を解明することは糖尿病治療戦略において重要な課題である。高尿酸血症とインスリン抵抗性との間に正の相関を示すことが多くの観察研究で報告されているが因果関係は不明である。本研究では尿酸の産生に重要な酵素であるXORに着目し,XOR阻害薬フェブキソスタットを用いてXORがインスリン抵抗性に及ぼす影響を検討した。6週齢、雄、Wistarラットを高脂肪餌群と高脂肪餌+フェブキソスタット群の2群に分け、4週間飼育し、インスリン感受性を正常血糖・高インスリンクランプ検査にて評価した。フェブキソスタット投与群は、末梢組織でのインスリン感受性を有意に増加させたが、肝臓でのインスリン感受性には有意な変化を認めなかった。次に、骨格筋細胞であるC2C12細胞を用いて、フェブキソスタットがインスリンシグナルに及ぼす影響を検討した。C2C12細胞においてフェブキソスタットはインスリン刺激によるAktのリン酸化を有意に増加させた。XOR遺伝子をノックダウンしたC2C12細胞では、フェブキソスタットはAktのリン酸化を有意に変化させなかった。これらの結果よりフェブキソスタットは骨格筋のXORを直接抑制することによりインスリン感受性を増強することを解明した。またクランプ実験では、フェブキソスタットが肝臓においてインスリン感受性に影響を及ぼさなかった機序として、高脂肪食飼育下では、フェブキソスタットは脂肪肝を増悪させるため、XOR抑制によるインスリン感受性改善と脂肪肝によるインスリン感受性増悪の2つの作用により、インスリン感受性に及ぼす影響が相殺されるため、フェブキソスタットは肝臓でのインスリン感受性に影響を及ぼさなかったと推測された。 以上より、XORは尿酸産生に関与するばかりではなく、骨格筋でのインスリン抵抗性の病態にも深く関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(23 results)