2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the sublinear-time paradigm
Project/Area Number |
20K11671
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
伊藤 大雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50283487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 離散アルゴリズム / 定数時間アルゴリズム / 劣線形時間アルゴリズム / グラフ / 幾何学 / ゲーム・パズル / 折り紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表者の提案している「劣線形時間パラダイム」を広く展開するための理論研究を行っている。2020年度の主な成果は以下の通りである。 (I) 漸進型アルゴリズム(progressive algorithm)の結果をまとめて論文誌に投稿した。「漸進型アルゴリズム」とは、データを徐々に読み込みながら段々と精度の高い解を求めていく手法であり、研究代表者によって提案されたものである。我々はこれまでに、「定数時間アルゴリズム」と「全てのデータを読み込む線形以上の計算時間のアルゴリズム」の両者が存在する任意の問題に対し、オーダの意味での各々の計算時間を悪化させることなく、両者を円滑に繋げる漸進型アルゴリズムが構築できることを証明した。これは片側誤り、両側誤りどちらにも適用可能であり、また本技法はグラフに限らず、どのような対象、モデルに対しても適用可能であると考えられ、非常に一般性のある結果である。本年度はその結果をまとめて論文誌に投稿した。 (II) グラフの全ての辺をK_3(3点クリーク)で覆う問題「広義K_3辺被覆問題」を扱った。グラフの辺や頂点をクリークで被覆・分割する問題は従来より存在するが、本問題は「K_3の辺のグラフからの食み出し」を認めている点が異なる。この食み出しを認めることは応用上重要である。我々は本問題がNP完全であることを示し、「グラフ中のK_3の数」または「木幅」に対する線形のFPTアルゴリズムを与えた。本結果は論文誌に採録された。 (III) 折り紙の平坦折り問題について、紙が平行四辺形の帯であり、すべての折り線が短辺に平行な場合の山谷付き問題に対し、線形時間アルゴリズムを与えた。これまでは紙が長方形の場合のみ解かれていたが、我々はそこに「分割」という操作を与えることで平行四辺形でも線形時間で解くことが可能になった。本結果は論文誌に採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漸進型アルゴリズムの論文化(投稿)し、さらに広義K_3辺被覆問題や平行山谷付き平行四辺形平坦折り問題の論文化も出来た。これらの結果から、現段階の成果としては十分なものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は劣線形時間アルゴリズムとしては複雑ネットワークに対する定数時間アルゴリズムや一般化したゲーム・パズルの定数時間アルゴリズムを、線形・多項式時間アルゴリズムとしては折り紙や広義K_3辺被覆問題の拡張に挑む。他に離散幾何学上の新たな問題や未解決問題などにも挑む。
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Causes of Carryover |
コロナにより出張を中心に計画が大幅に狂ったため。コロナが収まり次第正常な活動に戻る予定。
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