2023 Fiscal Year Annual Research Report
Intrinsic universality of co-transcriptional folding
Project/Area Number |
20K11672
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
関 新之助 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30624944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子自己組織化 / RNA共転写性フォールディング / オリタタミシステム / 本質的計算完全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020~23年度の4年間に本研究ではチューリング完全なオリタタミシステムの簡単化に主として取り組んだ。オリタタミはRNA co-transcriptional folding (CF)、すなわちRNA鎖が合成されながら同時に折り畳まれて複雑な構造をとる現象の数理モデルである。CFは生体内の様々な情報処理を司っており、生体内で自発的に組織化する人工計算機の駆動原理として有望視されている。 本研究の開始時点でこのモデルがチューリング完全、すなわち全ての計算可能関数を計算できるシステムをこのモデルの中で構築可能だと分かっていた。しかしその構築法は実験室での実装には余りにも複雑に過ぎた。本研究ではTuredoという計算モデルを提唱し、任意のTuredoシステムを同じように振る舞うオリタタミシステムに変換するコンパイラを実装した。オリタタミでシステムを設計するのには専門的な知識と経験が必須だが、チューリングマシンの亜種であるTuredoの設計は計算理論の基礎があれば誰にでも可能である。よってTuredoでシステムを設計しコンパイルすることで、オリタタミシステムの設計が極めて容易なものとなった。 生体内の計算は様々な構造の自己組織化により行われている。故に構造の自己組織化、とりわけ基本的な図形のそれが分子工学の分野では重要である。任意の構造をオリタタミモデルの仮想RNAにハードコードするアルゴリズムがDemaineらにより2018年に提唱されたが、これは目的の構造が変わるとRNAを1から設計し直さないといけない。1本のRNA鎖で複数の構造を生成できれば実験コストを削減できる。2022年度には任意のnが与えられたとき、1辺がnの正方形を生成するようなオリタタミシステムを実装したが、縦横比が1:1になっていなかったため、2023年度はその問題の解決に必要な技術の開発を行った。
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