2020 Fiscal Year Research-status Report
ドローネ三角網による平面的グラフの膨張因子とツーセンター問題の基礎研究
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20K11683
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
譚 学厚 東海大学, 情報理工学部, 教授 (50256179)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルゴリズム論 / データ構造 / 計算幾何 / グラフの膨張因子 / 平面的ツーセンター問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平面的グラフの膨張因子とツーセンター問題に対して研究を行った。主な研究結果は下の通りである。 1.平面的グラフにおける2点間の最短路の長さとユークリッド距離の比率の最大値はグラフの膨張因子と言い、ネットワーク設計の最適化に使われる。従来の最良因子は1.998であり、ドローネ三角網が用いられた。点集合が凸の場合、任意に与えられた2点a,b間の経路はaとbを結ぶ凸チェーンを用いて表現できる。さらに、2本の凸チェーンのうちの1つは2本の円弧を繋いだ境界線の内側にあることも判明した。直線線分を最大3本導入して円弧の一部を削ることにより、膨張因子が1.82以下であるとの最新結果が得られた。この研究結果を纏めた論文は学術論文誌に投稿して、現在査読中である。 2.平面上に与えられた点集合を半径最小の円盤を2個用いてカバーする問題は平面的ツーセンター問題(planar 2-center problem)と呼ばれる。平面的p-センター問題はNP-困難であることが分かったが、ツーセンター問題には効率的な解法がある。本研究は、点集合が凸位置にある場合、局所的な最適解の単調性を示し、効率のよいアルゴリズムを開発する。この研究結果に関する論文は現在纏めている。 3.平面上に与えられたn本の射線を訪れる最短の経路を求める問題(tは巡回セールスマン問題の変形版であり、多項式時間の解法があるかどうかは今まで分かっていない。本研究は、最短路がある順序で射線を巡回するとの特性に着目し、この問題を解くO(n exp 5)時間のアルゴリズムを提案する。さらに、与えられた線分集合のどの線分も少なくとも1点含む境界最短の凸多角形を求める問題 にも拡張して、2つの問題に対する多項式時間の解法を世界初めて提案することができた。この研究結果に関する論文はTheoretical Computer Scienceに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面的グラフの膨張因子に関する研究は、与えられた点集合が凸位置にある場合、膨張因子が1.82以下であるとの結果が得られ、従来の最良因子1.998を改善している。この研究結果を一般点集合に拡張して、より良い結果を導きたい。ツーセンター問題については、点集合が凸位置にある場合、O(n log n)時間の新しいアルゴリズムの着想が得ており、研究論文を纏めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平面グラフの膨張因子については、一般点集合の場合、最良因子が1.998であるが、それを改善していくことが今後の研究課題である。ツーセンター問題については、点集合が凸位置にある場合、O(n log n)時間のアルゴリズムの開発を完成して研究論文を発表したい。さらに、この研究結果を3次元のツーセンター問題や測地学的距離(geodesic metric)で定義される多角形領域内のツーセンター問題等に拡張し、効率のよいアルゴリズムを開発していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスが蔓延しているため、海外出張や国際会議への出席はできなくなった。このため、出張旅費を中心にして繰り越しが生じた。次年度の研究費と合わせた使用計画(主な支出)は下の通りである。 1.研究発表や研究調査等のための研究旅費(55万円)2.論文発表費やプリンタカートリッジなどの消耗品の購入(45万円)3.会議参加費、人件費、その他(30万円)
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