2022 Fiscal Year Research-status Report
ドローネ三角網による平面的グラフの膨張因子とツーセンター問題の基礎研究
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20K11683
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
譚 学厚 東海大学, 情報理工学部, 教授 (50256179)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 計算幾何 / 平面グラフの膨張因子 / 平面的ツーセンター問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平面的グラフの膨張因子等に対して研究を行った。主な研究結果は下の通りである。
1.平面的グラフにおける2点間の最短路の長さとユークリッド距離の最大比率はグラフの膨張因子と言い、ネットワーク設計の最適化には使われている。従来の最良因子は1.998であり、点集合のドローネ三角網が用いられた。点集合が凸の場合、任意に与えられた2点a,b間の最短経路はaとbを結ぶ凸チェーンを用いて近似表現できる。本研究では選ばれた凸チェーンは2つの半円の交わりの内側にあることを証明した。膨張因子が1.84以下であることを示す研究論文はJournal of Combinatorial Optimizationにオンライン (https://doi.org/10.1007/s10878-022-00940-4)で掲載され、2023年6月に出版される予定です。 ドローネ三角網の膨張因子をさらに1.74に改善する研究論文”Revisiting the stretch factor of Delaunay triangulations of points in convex position” も書き上げ、IEICE英文誌に投稿している. 2. 不正確な入力データに対する科学計算はしばしば要求される。計算幾何において不正確な入力点(imprecise point)は点クラスター(point clusters)を利用して表現することがある。本研究では、平面上に与えられたクラスターの集合に対して、各クラスターから1点を選び、最大面積または最長境界線を持つ凸包の計算問題を取り扱い、O(n^4)時間のアルゴリズムを提案した。我々の研究結果は従来のO(n^9)時間のアルゴリズムを大きく改善するだけではなく、ほかのいくつかのアルゴリズムを改良することもできた。研究論文”Largest convex hulls for constant size, convex-hull disjoint clusters”は国際会議TAMC2022で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平面的グラフの膨張因子に関する研究は、与えられた点集合が凸位置にある場合、今まで得られていた最良因子1.84をさらに1.74に下げることができ、大きな進展があった。この研究結果を一般点集合にも拡張して、従来の膨張因子1.998を改善したい。 平面的ツーセンター問題については、O(n log n)時間の新しいアルゴリズムの着想を得ているが、アルゴリズムの細部をチェックしている。この研究の結果は他のツーセンター問題にも応用できる。また、クラスターの最大凸包(largest convex hulls)を計算する新しいアルゴリズムを提案し、従来の研究結果を大きく改善した。
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Strategy for Future Research Activity |
平面グラフの膨張因子については、膨張因子1.74の研究結果を一般位置にある点集合にも拡張できるようにすることが今後の主な研究課題である。任意に与えられた2点a,b間の経路はいかにしてaとbを結ぶ凸チェーンまたは円弧内に変換できるのが研究のキーポイントであり、その手法および理論証明を模索している。 平面的ツーセンター問題については、まずO(n log n)時間のアルゴリズムに関する研究論文を発表する。次に、測地学的距離(geodesic metric)で定義される多角形領域内のツーセンター問題を解くO(n log n)時間のアルゴリズムを開発して発表していく。さらに、クラスターの最小凸包(smallest convex hulls)を計算する効率の良いアルゴリズムも提案していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のため、海外および国内の研究旅費は使えなくなり、次年度使用額が生じた主な理由である。 2023年度の助成金使用計画は下の通りである:海外・国内旅費:70万円、論文掲載料:20万円、研究補助人件費:30万円、消耗品費:10万円、そのほか:4万円。
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