2021 Fiscal Year Research-status Report
確率最適制御における保険会社の期待効用最大化問題の新展開
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20K11690
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
畑 宏明 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (00609290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Stochastic control / FBSDEs / Delay |
Outline of Annual Research Achievements |
1.4/2確率ファクターモデルのもとでの過去の投資実績を考慮に入れた保険会社の最適再保険問題 まず、有限時間範囲の保険会社のべき型期待効用最大化問題取り組んだ。過去の投資実績を考慮に入れた遅延のある確率微分方程式によって資産過程をモデル化して、確率的最大原理を用いて、前進後退確率微分方程式(FBSDEs)を導出する. この方程式の解はリカッチ微分方程式の解を用いて明示的に得られた.このFBSDEsの解を用いて、明示的な最適戦略を得た.次に、無限時間範囲における保険会社の単位時間あたりのべき型期待効用の成長率の最大化問題に取り組んだ.先の問題のリッカチ方程式の解の漸近挙動を調べて最適戦略を明示的に得た.さらに、我々の最適富過程の破産確率が極めて小さくなることが分かった。 従って、金融工学の研究者、金融実務家に刺激を与えるような研究になっていると感じている.この研究をまとめて、現在Mathematical Control & Related Fieldsに投稿中である. 2.内部情報を持つ場合の過去の投資実績を考慮に入れた指数型期待効用最大化問題 過去の投資実績を考慮に入れた遅延のある確率微分方程式によって資産過程をモデル化して、内部情報を組み込むためのフィルトレーションの拡大の手法と、確率的最大原理によって導出された前進後退確率微分方程式(FBSDEs)を用いて、明示的に最適戦略を得た. また、数値計算によって、あるシナリオではあるが内部情報を持っている方が内部情報を持っていない場合よりも投資のパフォーマンスが良いことが分かった.金融工学の研究者、金融実務家に刺激を与えるような研究になっていると感じている.この研究をまとめて、現在The Journal of Industrial and Management Optimizationに投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の第一目標である4/2確率ファクターモデルのもとでの過去の投資実績を考慮に入れた保険会社の有限時間範囲のべき型効用最大化問題と無限時間範囲の単位時間当たりのべき型期待効用の成長率最大化問題を解決し、投稿できた.さらに、モデルの一般化の研究も進めることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
一般的な非線形確率ファクターモデルと用いた次の2つの問題の解決を目指す. 1.保険会社のべき型期待効用最大化問題 2.保険会社の指数型期待効用最大化問題 これらの問題に対して、一番の課題は、動的計画原理を用いて導出する非線形放物型偏微分方程式であるHJB方程式の解の存在性を証明することである.このことを解決するために、HJB方程式に対して、適切な優解劣解と取り、対応する境界値問題の可解性を証明し、この境界値問題を解がHJB方程式の解に収束することを証明する方策を取る予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、國立中央大學(台湾)への出張2回、大阪大学への出張3回、立命館大学への出張2回、関西大学への出張2回ができなかったため. さらに、同じ理由で、日本数学会、日本応用数理学会、中之島ワークショップ金融工学・数理計量ファイナンスの諸問題2021、2021年度確率論シンポジウムに参加予定であったがすべてオンライン開催になったため。2022年度に40万程度のノートの購入を予定している。また、コロナの状況にもよるがなるべく研究打ち合わせのために旅費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)