2020 Fiscal Year Research-status Report
マトロイド理論・離散凸解析理論に基づく社会システム解析理論の構築
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20K11699
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高澤 兼二郎 法政大学, 理工学部, 准教授 (10583859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マトロイド / 離散凸解析 / 有向森 / 公平分割 / 社会的最適解 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の 4 篇の論文を発表した.本研究課題の主な成果として,以下の 2 篇を挙げる. (1) 論文「Optimal matroid bases with intersection constraints: Valuated matroids, M-convex functions, and their applications」は,共通の台集合をもつ二つのマトロイドにおける,積集合に制約をもつ基に関する最適化問題を解析したものである.本論文では,離散凸解析の視点から,この問題の様々な一般化や包括的な理解を与えた.これにより,周辺分野における様々な問題を含む広汎な枠組を得ることができた.この枠組に含まれる問題例には特に,混雑ゲームにおける社会的最適解を求める問題がある.本論文は,数理最適化の分野におけるトップジャーナルである Mathematical Programming に採択された. (2) 論文「Notes on equitable partitions into matching forests in mixed graphs and b-branchings in digraphs」では,グラフの辺集合を特定の性質をもち,かつ要素数の等しい部分集合に分割する二つの問題を取り扱った.一つ目の問題は,無向辺と有向辺の二つのタイプの辺をもつ混合グラフにおいて,辺集合をマッチング森とよばれる辺部分集合に分割する問題である.二つ目の問題は,有向グラフの辺集合を,b-有向森とよばれる有向森の一般化へ分割する問題である.双方の問題に対して,分割したマッチング森どうし,または b-有向森どうしの辺数の差が 1 以下となるような,最適な公平分割ができることを証明した.本論文は,組合せ最適化における最先端の国際会議である The 6th International Symposium on Combinatorial Optimization (ISCO 2020) に採択された. 他の 2 篇の論文もネットワーク上の最適化問題を扱ったものであり,ネットワークで表現される資源の公平な分割への応用を視野に入れた研究の展開が見込まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で,予定していた出張がすべて中止となった.特に,海外出張をしての研究打合せや国際会議への参加が不可能であったため,想定していた研究を進めることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行が収まり,出張が可能な情勢となった場合は,海外および国内の出張を積極的に遂行し,研究打合せおよび会議に参加しての情報収集を行うことにより,研究を推進する.そうでない場合も,リモートでの研究打合せおよび会議参加を遂行しやすい環境を整備することにより,研究を進める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,予定していた出張がすべて中止となったためである.次年度においては,可能ならば出張旅費に,さらには,リモートでの研究打合せや会議参加ができるような環境整備に充当する.
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Research Products
(7 results)