2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of statistical analysis methods for visualizing nonlinear activity of large-scale neural populations
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20K11709
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島崎 秀昭 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任准教授 (50587409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キネティック・イジングモデル / 神経スパイクデータ / 非平衡系 / 情報幾何 / 平均場近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳が有する外界のモデルを実験データから明らかにするための基盤的な統計解析技術として,時間変動する神経細胞集団の発火頻度と相関構造を逐次推定する技術として我々がこれまでに構築した【状態空間-イジングモデル】を発展させ,より大規模・非線形な神経細胞集団活動の解析を可能にする技術を開発することを目的としている. 初年度である本年度は,神経細胞集団の非平衡ダイナミクスを捉えることのできる神経ネットワークモデルであるキネティック・イジングモデルを取り上げ,このモデルによる神経活動データ解析を大規模・高精度化するための理論を開発した(Aguilera, Moosavi, Shimazaki. Nature Communications, 2021).キネティック・イジングモデルは神経細胞の数が大きくなると計算量が多くなり、その挙動を正確に知ることが難しくなる.そのため、計算量を減らして近似的に挙動を調べる平均場近似と呼ばれる計算技術が多数提案されてきた.しかし,これらの手法はダイナミクスに対するそれぞれ独自の仮説に基づいており,既存の理論を基にさらなる改良を施すことが難しかった.そこで,情報幾何と呼ばれる枠組みを用いることで,これまでの計算技術を包括的・体系的に記述できることを示し,近似したい統計量に則した平均場近似理論を構築できる枠組みを開発した.この理論に基づき,より高精度に神経ダイナミクスの相関構造を予測できる手法を新たに開発した.提案した手法を500個以上の神経細胞集団からなるシミュレーションデータに適用し,生体内の神経活動に近い多様なパターンが表れる状態において,これまでの手法より高い性能を示すことを確認した.この技術により神経活動データ解析の大幅な精度と速度の向上が見込まれ,大規模データ解析が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経活動の非平衡ダイナミクスを調べる技術として,キネティック・イジングモデルを取り上げ,その包括的な平均場理論の構築,およびゆらぎの大きい生体活動に使用できる統計解析技術を開発することができた.一方,状態空間モデルへの組み込みは次年度への課題として残った.
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Strategy for Future Research Activity |
キネティック・イジングモデルを状態空間モデルの枠組みに組み込み,動的な解析を可能にする.また,非線形の状態遷移を示す神経細胞集団の活動を解析することができる統計技術を構築する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:所属センターの基盤経費により必要な物品を充足させることができたため.また,移動制限により旅費の使用量が減ったため.使用計画:学生リサーチ・アシスタントの雇用経費に使用する.
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