2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11713
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松浦 峻 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70583368)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 多変量重回帰モデル / 予備検定推定量 / 多変量混合分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,多変量Allometric Regressionモデルにおけるパラメータ推定,およびAllometric Extensionモデルにおける高次元下の仮説検定法に関する研究に取り組み,以下の成果を得た. 多変量Allometric Regressionモデルは,多変量重回帰モデルの一種であり,説明変数の値が異なるときの目的変数の期待値の差ベクトルが,誤差分散共分散行列の第1固有ベクトルの定数倍に一致するという性質を持つモデルである.従来の推定量として,総平方和行列の第1固有ベクトルを用いる方法が知られているが,パラメータの値によっては回帰平方和行列の第1固有ベクトルを用いるほうが推定精度は良くなる.本研究では,予備検定によって総平方和行列と回帰平方和行列のいずれの第1固有ベクトルを用いるかを選択する予備検定推定量を提案し,数値シミュレーションによりその推定精度を調べた. また,多変量混合分布のモデルの一つであるAllometric Extensionモデルに対する仮説検定について,次元数(変量の数)が標本サイズ(個体数)より大きい高次元設定下で適用可能な,標本の分割を伴う仮説検定法を提案し,対立仮説における検定の一致性が成り立つ条件を導いた.提案した仮説検定法を人体寸法データ例に適用し,標本の分割による検定の結果への影響の大きさを調べた.さらに,提案法の第1種の誤りの確率および検出力について,Allometric Extensionモデルに対する従来の仮説検定法との比較を数値シミュレーションによって行った. 以上の成果について,国内学会での発表を3回,国際会議での発表を1回行い,また,査読付き論文1編が国際的学術論文誌に掲載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度~2023年度の4年間において,交付申請書に記した5つの研究課題(課題1「Seemingly Unrelated Regressionモデル(SURモデル)におけるリスク行列の下での偏回帰係数ベクトルの最良共変推定量の導出」,課題2「SURモデルにおける偏回帰係数ベクトルの最良共変推定量の一般化最小2乗推定量による表現とその性質」,課題3「SURモデルにおける様々な損失関数の下での分散共分散行列の最良共変推定量の導出」,課題4「相関係数行列が未知の場合や共変性を必ずしも満たさない高精度な推定量の構成」,課題5「SURモデルとは異なる(あるいはより広い)多変量重回帰モデルにおける統計的推定法の提案」)のうち,どの課題についても一定の成果が出ており,おおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記した5つの研究課題(課題1~課題5)のうち,特に課題5「SURモデルとは異なる(あるいはより広い)多変量重回帰モデルにおける統計的推定法の提案」を発展させることに取り組む.また,課題3「SURモデルにおける様々な損失関数の下での分散共分散行列の最良共変推定量の導出」や課題4「相関係数行列が未知の場合や共変性を必ずしも満たさない高精度な推定量の構成」についても,さらに取り組む予定である.
|
Causes of Carryover |
本年度は,昨年度までと比較して,オンラインではなく現地で開催される国内学会,国際会議が増えたが,参加した国際会議が日本開催であったこともあり,旅費の支出が少なかった. 生じた次年度使用額については,2024年度分の請求額と合わせて,国内学会,国際会議への旅費および文献や書籍等の購入に使用予定である.
|