2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of weather, terrain, and ecosystem sensor nodes for installation at World Natural Heritage
Project/Area Number |
20K11724
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
金本 俊幾 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (30782750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 幸男 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80193291)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | センサノード / エナジーハーベスティング / 低消費エネルギー / 低電圧動作 / ノイズ耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
集積回路上に形成あるいは配置可能で、かつ nFオーダーの値を確保できる有効な容量素子を集積回路の設計工程において探索するため、設計・寄生素子抽出、回路解析、数値解析によりオンチップ容量を見積る手法を考案した。AC 回路解析およびDC 回路解析を駆使し、設計素子に係る容量の電源電圧バイアス依存性を考慮した解析を可能にした。TEG(Test Element Group)の実測により、見積りを行ったオンチップ容量の妥当性を確認した。本手法を集積回路の設計工程に組込み、有効な容量素子探索に資する。 次に、再構成可能デバイスFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いてセンサノードのプロトタイピングを行い、モニタリングに必要な集積回路の機能および性能を明らかにした。プロトタイピングを行った低消費電力センサノードは、コロナ禍で重要性を増している血中酸素飽和度測定にも応用し、その波及効果を示した。FPGAに実装したプロセッサは、一般的なパイプライン方式に見られる分岐によるエネルギー消費を排した構成となっており、それ自体低消費エネルギーを実現している。実績として得られたプロセッサの機能記述はLSI試作にも適用可能であることを確認しており、今後の電源電圧、バックゲート電位の最適化、および電源電圧変動量の抑制に資することができる。また、センサノードの設置対象となる自然遺産地域の現地調査を行い、設置環境および設置可能な環境発電手段に関する知見を得た。 これらの研究成果は、国際会議1件及び学術論文誌1件に公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の令和2年度の研究実施計画では、(1)FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの再構成可能デバイスを用いてセンサノードのプロトタイピングを行い、モニタリングに必要な集積回路の機能および性能を明らかにする。(2)対象フィールドに設置可能な環境発電手段について現地調査を行い、供給可能なエネルギー量を明らかにする。(3)必要な機能および性能を供給可能なエネルギー量で実現するため、集積回路に印加すべき電源電圧、バックゲート電位、および許容電源電圧変動量を明らかにする。の3項目を予定していた。(1)はほぼ達成しているが、(2)に関しては、現地調査の機会が大幅に制約されたため、環境発電で供給可能なエネルギー量の特定には至っておらず、(3)に関しても集積回路に印加すべき電源電圧、バックゲート電位、および許容電源電圧変動量は(2)の特定後に確定する。一方、2021年度にデバイス解析、回路解析、数値解析およびTEG(Test Element Group)の実測を通して明らかにする予定としていたnFオーダーのオンチップ容量について、令和2年度にデバイス解析、回路解析、数値解析オンチップ容量値の見積り手法を確立、TEGによる実測値で妥当性を確認し、論文誌で発表を行った。さらに計画にはないが、プロトタイピングを行った低消費電力センサノードをコロナ禍で重要性を増している血中酸素飽和度測定に応用し、国際会議で発表した。したがって、全体としておおむね順調と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、対象となるフィールドに設置可能な環境発電手段について再度現地調査を行い、供給可能なエネルギー量を明らかにする。 当初想定していた薄膜BOX構造SOI集積回路の試作は、令和2年度の社会情勢の影響を受けて困難となっているため、従来の集積回路製造プロセスを用いてFPGAに実装した機能および性能を供給可能なエネルギー量で実現することを目指す。集積回路に印加すべき電源電圧、バックゲート電位、および許容電源電圧変動量を薄膜BOX構造SOIおよび従来の集積回路製造プロセスの回路解析により明らかにする。 集積回路上に形成あるいは配置可能で、かつ nFオーダーの容量値を確保できる有効な容量素子をデバイス解析、回路解析、数値解析およびTEG(Test Element Group、TEG1)の実測を通して明らかにする。これまでの成果として得られた機能記述をもとに要素回路の配置を行い、電源網幹線を生成して有効と判明した容量素子を接続する。オンチップ電源網の回路解析および最適化手法を用い、各要素回路から見込んだ電源網のインピーダンスを許容電源電圧変動量の制約に収める電源網回路の構造を明らかにする。得られた電源網は集積回路TEG(TEG2)に実装し気象・地象・生態系センサノードを構成し、積雪厳寒期に亘るフィールド検証を行う。
|
Causes of Carryover |
令和2年度に、対象フィールドに設置可能な環境発電手段について現地調査を行い、供給可能なエネルギー量を明らかにする予定であったが、現地調査の機会が大幅に制約されたため、旅費の行使が滞ったとともに、環境発電で供給可能なエネルギー量の特定に至らず、処理を行う集積回路の物理諸元に未定部分が残ったため、TEGの作成に遅れと未使用額を生じた。 残る現地調査とTEG作成を次年度に行うこととし、未使用額はそれらの経費に充てることとしたい。
|
Research Products
(3 results)