2022 Fiscal Year Research-status Report
FPGAを含む計算資源管理のためのオペレーティングシステム基盤
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20K11751
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
追川 修一 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (00271271)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソフトウェア / オペレーティングシステム / 計算機システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、FPGAを含む計算資源の多重化を実現する開発環境の開発ならびに評価についての研究を行った。 本研究では、FPGAは1つのプロセスが占有して使用するものであり、他のFPGAを使用するプロセスは実行を開始することができないという問題点を解決するため、計算資源としてはCPUはFPGAを代替する、またその逆も成り立つという、CPUとFPGAを並列に考えるという概念を取り入れることで、必要とする計算資源が占有されている場合は、他の利用可能な計算資源を用いて実行するという選択肢を得ることで、計算資源全体での多重化を可能にしている。そのための開発環境として、単一のプログラムから複数の利用可能な計算資源で実行可能なバイナリ等を生成できる環境が必要となる。そのプログラムから、CPUについてはコンパイルして実行可能バイナリを生成し、FPGAについては高位合成(HLS)によりFPGA回路に変換してIPを生成する開発環境の開発を行った。 開発環境は、複数のオペレーティングシステム間でのポータビリティを考慮し、Dockerを用いて開発を行った。評価には汎用性を重視し、Windowsを用いて行った。WindowsではDocker for WindowsとWSL2上のDockerの2通りの方法を用いることができるため、それら両方に開発環境を構築し、比較を行った。プログラムのソースコードをどこに配置するかが開発効率に影響するため、ホスト環境にソースコードを配置するかたちで生成時間を計測したところ、Windows上にソースコードを配置するDocker for Windowsよりも、WSL2上のUbuntuにソースコードを配置するWSL2上のDockerの方が約3倍高速であり、開発環境としてはWSL2を用いる方が有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において中心的な機構となる、FPGAを含む計算資源の多重化を実現する機構の開発を行い、その開発環境を構築し、実験を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象は主に組込みシステムとなることから、プログラムの軽量な実行環境が求められる。そこで、軽量な実行環境として近年注目が集まっているUnikernelについての調査を行い、従来はユーザレベルのプログラムとして実現されていたものを、そのままのかたちでカーネル内のプログラムとすることで、プログラムの実行環境として軽量化する方法についての研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
2020, 2021, 2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の現地における発表・情報収集ができなかった。 2023年度においては、新型コロナウイルス感染症の状況をふまえつつ、国内外における現地での発表・情報収集も検討する。
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