2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K11777
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤田 悟 法政大学, 情報科学部, 教授 (40513776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 薫 法政大学, 情報科学研究科, 教授 (40735651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脈拍推定 / フーリエ変換 / ウェーブレット変換 / 特異値分解 / 特徴点トラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高解像、かつ、高機能化したスマートフォンのカメラにより撮影した画像を微視的かつ時間軸上に詳細分析し、曲面を持つ剛体を含む物体の個体識別や、人体のように曲面かつ柔軟体である物体の個体識別を行い、加えて、脈拍や紅潮のような時間変化に関する情報抽出を行う技術について研究している。 2020年度は、顔映像からの脈拍抽出について、集中的な研究活動を行った。顔映像を撮影すると、256階調のRGB値の1階調を下回るレベルで、血流に伴う微小な色変化が観測される。1階調未満の変化であるため、周辺の画素を集め、その平均値の動きを観測することで、脈拍を観測可能になる。しかし、実際には、外部光源の変化や、顔の微小な動きによるノイズの影響が大きく、脈拍による色変化の抽出は困難である。そこで、2つの方法による脈拍抽出の研究を進めた。 一つ目は、時間と空間の連続性を利用し、すなわち、短時間では脈拍は大きく変化しないこと、異なる肌も同じ周期で脈拍が観測できることから、連続時間での観測と、複数領域での脈拍測定を行い、脈拍測定の精度改善を試みた。もう一つは、面ではなく、皮膚を点としてとらえ、点をトラッキングすることで、同じ点での色変化を際立たせる手法である。いずれの手法も、複数領域、あるいは複数点から得られた時系列信号を特異値分解することで主成分を抽出し、フーリエ変換やウェーブレット変換により周期波形をとらえることで、精度高い脈拍推定ができることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、肌という柔体の特徴点マッチングの基礎技術を開発する予定の計画を立てていたが、特徴点のトラッキングが予想以上の精度で実現できたことから、先行して肌色の微小変化からの脈拍推定の研究に取り掛かることができた。関連研究では、注目領域(ROI)を顔表面画像から矩形領域として切り出す論文が多いが、本研究では、複数の領域や、点の集合として扱うことで、精度の高い脈拍抽出を実現した。また、得られた複数の時系列データを特異値分解することで、周期的な色変化が顕著に抽出できるようになったことも精度向上に貢献している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度については、肌の微細画像の分析に立ち返り、再度、高精度なトラッキングを行う技術について、研究を深める。同時に、2020年度の研究成果の延長上で、脈拍以上の生体情報を顔映像から抽出できないか、について検討する。現時点では、瞳孔の開きなども同時に抽出し、脈拍と連動させることで、被験者のストレス変化を観測できるのではないかという仮定で、研究を進めている。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、映像のような非接触で利用できる健康管理に注目が高まっている。本研究も、社会のニーズにあった非接触の健康状態の管理ツールとしての応用を考えながら、方向性を定めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、海外で開催される国際会議への出張機会がなく、2020年度の出張予定支出額が抑えられることになった。一方、研究にかける時間は十分に取れたことから、研究成果としては当初の予定を超える成果が上がったと考えている。繰り越しとなった予算については、2021年度以降の国際会議参加などに振り替えて活用する予定である。
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