2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Spatio-temporal Data Distribution Network for IoT/CPS
Project/Area Number |
20K11792
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
野林 大起 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (40632906)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IoT/CPS / 時空間データ滞留 / 車両ネットワーク / 時空間データ活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、車両ネットワークおよび Mobile Edge Computing (MEC) 技術を活用した時空間データ滞留方式を提案し、時空間データ流通情報基盤を確立することを目的とする。 令和2年度は、まずこれまで提案してきた時空間データ滞留方式の改善に取り組んだ。これまでの時空間データ滞留方式は、隣接車両密度に応じてデータ送信確率を制御することで効果的なデータ滞留を目指していたが、全車両がビーコンを送信する必要があったため、車両台数の増加に伴うビーコン送信数の増加が問題であった。そこで、ビーコンを送信することなく時空間データ滞留を実現するデータ送信制御方式を提案した。提案手法の有効性をより現実的な環境において評価するため、現実の都市における車両交通流モデルを利用することで、提案手法が効果的にデータ滞留できることを明らかにした。加えて、本時空間データ滞留方式の実用性検証のため、テストベッド上にマルチエージェントエミュレーションシミュレーション環境を構築し、現実を模した実験及び検証を開始した。現時点では、時空間データ滞留方式を、テストベッド上の車両を模擬したノード25台に実装し、動作検証を行うことでデータ滞留が実現できることを明らかにしている。一方で、同一空間上に滞留するデータが増加するに従い、チャネル衝突や無線資源の枯渇が原因で滞留の効果が低減することが予想される。さらに、従来の時空間データ滞留方式では単一パケットで構成されるようなIoTデータの滞留を想定していたが、アプリケーションによってはサイズの大きいデータを滞留させる場合が想定される。そこで本研究では時空間データ滞留におけるMECや路側機等の活用を検討するためにシミュレーションにより複数データや大容量データを滞留させた場合の性能を評価し、MEC連携へ向けた検討を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していた項目に対して、当初の計画以上に研究が進展している。従来の時空間データ滞留方式が有する課題を解決しつつ、より効果的なデータ滞留を実現するためのMEC連携の検討を進めている。具体的には、(1)車両ネットワークを用いた時空間データ滞留方式の改良、(2)現実環境を想定したシミュレーションによる実現可能性の評価、(3)マルチエージェントエミュレーションシミュレーション環境を用いた実用性検証、(4) MEC連携を想定した大容量データの滞留の実現、について検討を進めており、各項目において国内研究会における発表や論文誌への掲載など、一定の成果を上げることができている。また、上記だけではなく、時空間データ滞留方式のユーザエクスペリエンスの検証のため、これをマイコンボード上に実装し、少数のノードではあるが実験を開始している。以上のことから、時空間データ滞留方式を用いた時空間データ流通情報基盤を確立という目的に向けて、着実に成果を出しつつ研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に取り組んだ時空間データ滞留方式の改良及びMEC連携による効果的な時空間データ滞留方式の提案について引き続き取り組む。具体的には、(1)時空間データ滞留を実現するためのビーコンレスによる送信制御手法の詳細な評価、(2)マルチエージェントエミュレーションシミュレーション環境を用いた大規模環境における時空間データ滞留の実現可能性の検証、(3)様々な時空間データを効果的に滞留させるための送信制御手法の改善及びMEC連携による効果的なデータ滞留方式の提案、(4)実証実験によるユーザエクスペリエンスの検証、に取り組む。 また、当初の計画に従い、データ発生位置を考慮した粒度の異なるデータの滞留方式の研究にも従事する。時空間データはある一定の範囲内での活用を目的としているが、中には他のデータと集約・連携することで新しい価値を創出可能なものも存在する。例えば、ある商店の情報は、地域内の商店の情報として集約することで、「商店街」の情報として活用することが可能となる。また、この情報は本来の商店が想定した情報よりも広範囲に滞留させることで、ユーザに粒度の異なる情報を段階的に提供することが可能となる。MECを用いた時空間データ連携を想定し、データ発生位置を考慮した粒度の異なるデータの滞留方式を提案する。MECによるデータの収集、分析と新たな価値(サービス)の発見、データ提供を実現する新しい滞留方式を検討し、シミュレーション、及びエミュレーションを用いて評価し、その実現可能性を評価する。
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