2020 Fiscal Year Research-status Report
分散型SDNコントローラの統一的制御を可能にするデータベース定義型制御機構の構築
Project/Area Number |
20K11802
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
佐藤 寧洋 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 准教授 (80571554)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SDN / ネットワーク仮想化 / ネットワーク制御 / ネットワークアーキテクチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、分散型コントローラの統一的制御を実現するデータベース定義型SDN 制御機構の構築を目的としている。すべてのネットワーク制御情報をデータベースシステム上で統一的に管理・定義することで、分散コントローラ間の情報同期問題を解決することを目指している。さらに、設定方法の異なるコントローラに適した設定情報を生成する機能コンポーネントと変換ドライバによって、異種コントローラが混在する環境下においても統一的なネットワーク制御ができるSDN 制御機構の実現を目指している。
2020年度はまず実装に向けた準備として各種サーバや OpenFlow 対応スイッチを購入し、実験環境を構築した。次に、ネットワーク制御情報の格納するための各データベースのテーブル構成を検討した。具体的には OpenFlow 1.3 に準拠する形で各データベースのテーブルやフィールドを定義し、MySQL 上に各種データベースを構築した。現段階では、すべての制御情報についての動作検証などは行えていないが、単純なネットワーク制御(簡単なファイアーウォール程度の機能)に必要となる物理結線や接続されている端末の情報が格納できることを確認した。さらに、データベースに格納されているネットワーク制御情報をもとにOpenFlow スイッチへの設定情報を生成するための基本的なエンジンについて実装し、想定した制御が行えていることを確認した。また、ネットワーク制御の抽象化のために、格納されているネットワーク制御情報を可視化するエンジンについても実装し、物理ネットワークの結線状態を Web 上で視覚的に確認できるようにした。
データベースの構成やエンジンの設計にあたっては、実際の制御を行いながらブラッシュアップしていく必要があるため、基本となる機能を実装しながら、より複雑な動作の実現を目指して進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験環境については予定通り構築できている。また、当初予定していたデータベースの設計や実装、簡易的な機能を有するエンジンの実装など現時点では計画通り進捗している。また、ネットワーク情報の可視化という点では当初計画していなかった内容であるが、エンジンの実装やデータベースとの連携を考える上では非常に有用であり、今後のエンジン設計やネットワーク制御においても有効であると考えており、全体的に順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021 年度は「課題(2) 自律的に動作する機能コンポーネントおよび変換ドライバの開発」を中心に研究を進めていく予定である。2020 年度においても基本的なエンジンという形で動作させることができたが、多様なネットワーク制御に対応するためには、多くのエンジンやそれらの連携方法について検討する必要がある。本研究の制御機構において中心となるデータベースについては概ね定義できていることから、それらの情報を適切に組み合わせることで必要なネットワーク制御情報(具体的には、経路表や VLAN などのスイッチ情報)を生成するエンジンを開発する。また、統一的な制御を実現するための変換ドライバについて、いくつかの主要な OpenFlow コントローラを対象として調査する。現時点では OpenDaylight と Ryu に対応した変換ドライバの実装を進めているが、他のコントローラについても広く対応できるようなドライバの実現をめざす。さらに「課題(3) 実環境における動作検証と性能測定」として、実験環境における動作検証や性能評価についても部分的な機能ではあるが実施し、対外的に成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた出張や対外発表が中止またはリモート開催となったことから、主に旅費について計画通りとならなかった。次年度以降の出張や投稿費に充てる予定である。
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