2021 Fiscal Year Research-status Report
QRコードの特性とその脆弱性、および安全性に関する研究
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20K11810
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森井 昌克 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00220038)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | QRコード / 二次元コード / 自動認識 / 符号理論 / 誤り訂正符号 / リードソロモン符号 / ホログラム / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、自動認識技術として、広く社会で流通し、様々な分野で利用されるQRコードであるが、仕様が定められているにもかかわらず、実用的な自動認識技術としての融通さゆえに、適用されるリードソロモン符号ですら「埋め草コード」等様々なパラメータがあり、さらに光学的認識、パターン認識における「雑音」となるところの誤認識の特殊性も相まって、その特性が十分解明されていない。令和3年度では、昨年度に引き続き、この特性を解明しようとするものであり、その特性を利用した新たな技術の開発も目的としている。令和2年度ではホログラムQRコードと名付けた、異なる情報を表示(認識)できるQRコードの開発を行い、実際に構築可能であることを実証した。
令和3年度では引き続き、このホログラムQRコードを実装する際に、より読み取り精度(認識率)を向上させる手法について考察を行った。その結果、初年度では実装可能であることを実証したものの、その認識率、および認識アルゴリズムの差異によって認識率が低下することを判明し、それを克服するための方法、具体的にはモジュール(セル)への雑音(歪み)付加方法を検討し、その具体的方法を与えた。また画像と一体化したQRコードの作成問題において、従来からのAesthetic QRコードに比較して、格段に一体化を増した、すなわちQRコードのモジュール(セル)が目立たない新たなPost Aesthetic QRコードを提案し、評価を行った。さらには、このPost Aesthetic QRコードの概念を利用して、QRコードを用いる新たな個人認証システムを開発した。併せてQRコード自体の認識問題に取り組み、QRコードが有する本来の誤り訂正機能、すなわちQRコードの破損や汚れへの耐性について考察し、従来、認識不可能であった極めて破損が著しいQRコードにおいてさえ、認識可能な方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度のホログラムQRコードの提案、実装可能性の実証に引き続き、実装を確実にするための、すなわち複数の認識アルゴリズムへの適用を可能にし、さらには認識率自体の向上のための方法について検討し、その具体的方法を与え、評価を行った。このホログラムQRコードにおける成果のみならず、Post Aesthetic QRコードの提案、その概念を利用した個人認証システムの提案、さらにはQRコード自体の認識率を格段に向上させるための認識アルゴリズムの提案を行ってる。特にPost Aesthetic QRコードをさらに発展させ、人にはQRコードとして認識することは困難であるにもかかわらず、スマホ等に搭載されたQRコードデコーダではQRコードとして認識する画期的なQRコードの作成方法を提示した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、QRコードの潜在的能力の解明においては昨年の成果を基に、QRコードの様々な状態、あるいはQRコードを認識する様々な環境において、有効に作用する高精度復号法(認識方法)の提案を行い、その実装評価を進める。またPost Aesthetic QRコードを利用した、QRコードの実用面での脆弱性の提示とその対策、さらにはホログラムQRコードの認識率向上とその実用化について研究を重ねる。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、コロナ禍が原因となって、出張による資料収集、学会発表が不可能となり、また大学等の研究設備が十分利用できず、機器の購入による、その利用の目途が立たず、物品費を中心に翌年度に繰り越しとなった。2022年度には当初からの研究計画に加え、それまでに購入予定の物品を購入するとともに、昨年度繰り越しとなっている研究内容について、資料整理、研究補助等の人件費、および学会発表、資料収集に関わる旅費として改めて使用する予定である。
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Research Products
(4 results)