2020 Fiscal Year Research-status Report
暗号アルゴリズムの代理変更が可能な共通鍵暗号型プロキシ再暗号化方式の開発応用研究
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20K11811
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 英伸 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (80611631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 俊博 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (80508127)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エッジコンピューティング / プロキシ再暗号化 / Intel SGX |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,暗号文を復号することなくサーバ側で暗号アルゴリズムの変更を可能にする共通鍵暗号型のプロキシ再暗号化方式を提案する.さらに,利用者のニーズや利用環境の制約に適した再暗号化処理委託システムとして,エッジコンピューティングの特徴を活用する場合とハードウェアセキュリティ機構Intel Software Guard Extension(Intel SGX)を活用する場合の2つのパターンで実装・評価を行う.これにより,膨大な暗号文に対する再暗号化処理の効率化および利用者の負担軽減の両立を目指す. 2020年度は,暗号アルゴリズムの変更が可能な共通鍵暗号型のプロキシ再暗号化方式の設計を行った.提案方式では,共通鍵で暗号化した暗号文の暗号アルゴリズムを既存の擬似乱数生成器のものから異なるストリーム暗号の擬似乱数生成器に置き換えることによって暗号アルゴリズムの変更を可能にしている.この方式はストリーム暗号を前提としているが,AESなどのブロック暗号も高速に処理をするためにはCTRモードなどの暗号利用モードを用いてストリーム暗号として扱うことから,同様にアルゴリズムの変更が可能となる. 加えて,コンテナ仮想化技術であるDockerを用いて提案方式を組み込んだ拡張型プロキシ再暗号化モジュールを開発した.開発したモジュールでは更新可能な暗号アルゴリズムとして,ストリーム暗号RC4とブロック暗号AESのCTRモードをC言語で実装し,相互に更新可能な再暗号化鍵を生成可能とした.本研究の取り組みの概要については,2020年11月に電子情報通信学会コミュニケーションクオリティ研究会の招待講演にて報告している. また,2021年度の研究課題に向けてIntel SGXを使用する際の高度暗号技術の利用可能性についても検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していた共通鍵暗号型のプロキシ再暗号化方式の設計ならびにプロキシ再暗号化モジュールの開発ができている.また、エッジコンピューティング基盤上での基本的な評価もできている.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,エッジコンピューティング基盤上で実施した評価を詳細化した上で国際会議や学会等で報告する.加えて,Intel SGXを活用したプロキシ再暗号化処理委託システムの開発を進める.具体的には,クラウド上のIntel SGX搭載ストレージとの安全な鍵共有と再暗号化鍵生成の機能要件・問題点を整理した後,再暗号化処理委託システムのプロトタイプを設計し実装する. なお,新型コロナウイルス感染症の蔓延により,国際会議等の出張が困難となっている.今後の状況の変化を注視しつつ,オンライン打ち合わせの活用や対外発表を来年度に延期するなど柔軟に対応していく予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額のうち425,867円は研究代表者の残金である.新型コロナウイルス感染症が終息せず,予定していた学会や国際会議等への出張がオンライン開催とり旅費が不要になったこと,参加費が減額になったこと等により残額が生じた.これらは,今後の情報収集や国際会議参加の出張費用に充てる. また,次年度使用額のうち115,860円は研究分担者へ分配した残金である.新型コロナウイルス感染拡大にともない研究分担者の大学が入構禁止になった時期もあり,学生アルバイトによる研究補助業務が当初の予定より少なくなった.依頼できなかった業務については次年度に実施してもらうため,残金はそちらに充てることにする.
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