2022 Fiscal Year Research-status Report
多次元医用画像における臓器・疾患横断型深層学習に基づく医師の暗黙知獲得と蓄積
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20K11827
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
周 向栄 岐阜大学, 工学部, 准教授 (00359738)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | machine learning / deep learning / database / CT image / anatomical structures |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究目指している多次元医用画像を用いた臓器や疾患横断型深層学習は、医療現場において大きな期待が寄せられている研究分野の一つです。この研究では、深層学習アルゴリズムを用いて多次元医用画像を解析し、病変部位の自動検出や診断支援を行い、医師の暗黙知獲得と蓄積に役立てることができます。
これまでに、岐阜大学病院の倫理委員会の審査を受け、本研究計画と医用画像の使用が許可されました。岐阜大学で収集した医用画像を海外で公開された画像データセットと合わせて、本研究の基盤である大規模な人体画像のデータセットを構築しました。体幹部における人体の解剖構造を細分化し、医師の指導を受けて人体の主要な内臓と骨格・筋肉をCT画像から手動で抽出し、医用画像とその上に解剖構造を両方備えた教師データセットを作成しました。これにより、医用画像を用いた計算機の自己学習に必要とする知識データを整えました。医用画像からの解剖学的構造の認識・抽出、画像間の位置合わせ、症例の自動判別など、異なるタスクを共通の枠組みで学習する方法を提案しました。実験の結果、異なるタスクを実現するために構築したモデルに共通する特徴空間があり、計算機の学習によって医用画像における汎用的な医学知識の獲得が可能であることを確認しました。また、大量な医用画像データに基づいて様々なタスクに対応するモデルの構築を繰り返しながら、異なるモデルの共通部分を一つの「辞書」に効率的に集約する方法(辞書学習と呼ばれる)を構築し、初期的な実験結果を実施して性能が確認されています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの影響を受けて一部の研究活動をOnlineに切り替えるしかなかった.本学の病院から収集した医用画像の使用が完全にOfflineと決められているので,実験を効率に進めることができなかった.学会など他の研究者と交流する機会が著しく減ったので,論文作成にも遅れている.計算機のハードウェア(GPUメモリ)の不足による影響が想定より大きいため,高次元医用画像の学習では長期間で処理が続く必要がある.大量な医用画像を用いて,試行錯誤を繰り返すことによるモデルの構築には,現在環境で計算力が不足である.よって,今年度の研究進度は遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)深層学習によるモデルの訓練には大量の画像データが必要であるため,様々な病態の医用画像を収集し,正確に分類することが必要です.大規模な画像データセットの収集と分類を継続します. (2)収集した画像データを使用して,多様な深層モデルを訓練し,そのモデルを比較・解析することで,汎用的「辞書」に共通する特徴を特定することができます.多様な深層モデルの比較と解析に集中します. (3)大規模な画像データセットを扱うためには,学習アルゴリズムの高速化が必要です.さまざまな学習法の開発や最適化を行い,効率的な学習手法を構築することが重要です. (4)大規模な画像データセットを扱うためには,高性能な計算機の利用が必要です.現在のハードウェアでは,大規模な画像データセットを扱うことが困難であるため,計算機のハードウェアの増強が必要です. (5)研究成果を他の研究者と共有することで,より多くのアイデアやフィードバックを得ることができます.学会などの場での発表や論文の投稿を通じて,研究成果を広く公表し,多くの人々に知ってもらうことが重要です.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、コロナウイルスの影響により実験の進行が遅れたこと、予定していた計算機の購入ができなかったこと、そして発表や論文の投稿ができなかったことが挙げられます。 これらの理由により、今後の研究に必要なデータの収集や解析、計算機によるシミュレーション、そして研究成果の発表や論文の投稿に必要な費用が、次年度に生じることが予想されます。 使用計画としては、必要なデータの収集や解析に必要な機器や材料の購入、計算機の購入やメンテナンス、発表や論文投稿に必要な費用などが挙げられます。これらの費用は、研究に必要な基盤整備と研究成果の発表に必要な費用として使用されます。
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