2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and Application of Robust Motion Planning Platform of Robots with Symbolic-Numeric Computation
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20K11845
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
照井 章 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80323260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 計算機代数 / 数式処理 / グレブナー基底 / ロボット工学 / 逆運動学問題 / 限量子消去計算 / 包括的グレブナー基底系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3自由度のロボットマニピュレータの逆運動学問題において、与えられた実3次元空間内の座標に対し、その位置へエンドエフェクタを移動させるためのジョイントの配置を求める逆運動学問題の解法に関する研究を行った。 先行研究では、逆運動学問題を連立代数方程式に帰着させ、グレブナー基底計算により、方程式を「三角型」に変換し、1変数方程式を解いて得られた根を逐次代入することで連立方程式を解いていたが、以下の課題が挙げられていた。課題1: 与えられたエンドエフェクタの位置に対するエンドエフェクタの実行可能性が理論的に示されていない状況下で連立代数方程式を解いており、制御系における実行可能解の存在保証の点で課題となっていた。課題2: エンドエフェクタの位置を与えるたびごとにグレブナー基底計算を繰り返す必要があり、計算効率の点で課題となっていた。 各課題に対し、本年度の研究により、以下の成果が得られた。課題1に対しては、与えられたエンドエフェクタの座標に対し、包括的グレブナー基底系 (Comprehensive Groebner Systems; CGS) 計算に基づく限量子消去計算 (Quantifier Elimination; QE) により、与えられた位置に対するエンドエフェクタの配置の実行可能性を厳密に判定する計算手法をまとめ、実装した。課題2に対しては、包括的グレブナー基底系をあらかじめ計算しておくことで、逆運動学問題が繰り返し与えられた際にもグレブナー基底計算を省いて連立代数方程式を解く計算手法をまとめ、実装した。 以上の手法の実装について、研究代表者らの先行研究による既存の逆運動学問題ソルバと動作を比較し、本研究による実装の有効性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、限量子消去計算によって逆運動学問題の解の存在保証を行う方法を実装してその効果を検証し、逆運動学問題の解法自体についても、包括的グレブナー基底を利用してグレブナー基底計算の繰り返しを避けた解法の効率化を達成しており、当初の研究計画に沿う形で研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の主な推進方策は以下の通りである。 1) これまでに研究対象としたロボット制御系は3自由度であるが、今後、より自由度が高い制御系での応用を目指す。 2) これまでに、逆運動学問題の解の存在保証を行った際に用いた制約条件は等式制約に限られた。(これは、主に限量子消去計算の計算量の影響によるものであった。)今後は、不等式制約も含め、より複雑な制約条件に対しても解の存在保証を可能にすることを目指す。 3) これまでに研究対象とした逆運動学問題は、主にエンドエフェクタの目標位置を実現させるジョイントの配置を求める問題であったが、今後は、与えられた軌道に対する逆運動学問題の解法などへの拡張を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス感染症に伴い、旅費支出を伴う出張が見送られたため、次年度使用額が生じた。この金額については、翌年度以降、新型コロナウイルス感染症の状況の変化によって出張が可能になった場合には旅費として使用する予定で、翌年度分の請求額と併せて本研究計画の遂行に用いる。
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