2021 Fiscal Year Research-status Report
固体・流体状態の粉粒体に対する粗視化離散要素モデルの開発
Project/Area Number |
20K11850
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷲野 公彰 大阪大学, 工学研究科, 講師 (10726384)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 離散要素法 / 粗視化モデル / 幾何学的相似 / 計算高速化 / 転がり抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,径の大きな粗視化粒子を用いて小さなオリジナル粒子の挙動を模擬する粗視化モデルの開発・検証を主なテーマとして研究を行った.昨年度から行っているシミュレーション結果より,粒子間に比較的大きな付着力が働いている場合には,開発された粗視化モデルの結果とオリジナル粒子の結果に差異が出ることが明らかになった.本年度は,全方位周期境界の領域中に粒子がランダム配置された系や単純せん断流など,より単純化されたいくつかのシミュレーションを行うことで,差異の原因についての調査を行った.本粗視化モデルでは,粒子層を連続体近似することにより空間に固定されたコントロール・ボリューム(CV)に働く応力を一致させるように,粗視化粒子に働く力をスケーリングさせる.本年度行った計算の結果より,これまでのスケーリング則を用いることで隣接するCV間での運動量輸送量は一致するものの,CV内の粒子接触頻度は粗視化粒子とオリジナル粒子で差が生じることが明らかとなった.これは,特にCV内粒子の衝突によるエネルギー消散量に大きな影響を与えると考えられる.これにより,粗視化モデルとオリジナル粒子の結果に差異がでることが示唆された. また,粗視化間の転がり抵抗(転がり摩擦)に関するモデリングおよびスケーリング則の導出を行った.開発されたモデルを粉体層形成プロセスに適用し,安息角やかさ密度についてオリジナル粒子の結果を非常に良く再現することが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の結果により明らかになった問題点について,様々なシミュレーション結果を解析することでその原因を特定することができた.また,転がり抵抗を含め,さらなるモデルの改良を行うことができ,非常に興味深い結果を得ることができた.現在,本研究で得られた知見の一部を英文ジャーナル(Powder Technology)に投稿中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果より,開発された粗視化モデルの適用範囲が明らかになり,オリジナル粒子の挙動を再現できない場合の問題点を特定することができた.今後は,この問題を解決するためのモデル改良に取り組む予定である.また,粒子の非球形性やサイズ分布等,現在の粗視化モデル考慮されていない要素についてもモデリングを予定している.これにより,より一般的な系に対して粗視化シミュレーションを行うことが可能になると期待される.
|
Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会がオンライン開催となり,旅費が不要になったため.これについては翌年度分の大型コンピュータ利用料金増額に利用し,プロジェクトの成果促進につなげる予定である.
|