2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a high-resolution scheme for relativistic magnetohydrodynamics that opens up an interdisciplinary research
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20K11851
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三好 隆博 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (60335700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 博之 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (80613405)
野中 千穂 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10432238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁気流体力学 / 高解像度数値解法 / 学際領域開拓 / 高エネルギー原子核物理学 / 高エネルギー天体物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、相対論的磁気流体力学に対する高解像度数値解法を研究・開発し、高エネルギー磁気流体力学現象に関する次世代シミュレーション研究の基盤を構築すると共に、数値磁気流体力学を通じて、高エネルギー原子核物理学と高エネルギー天体物理学の学際的な研究領域を開拓することにある。 本年度はMilne座標系(膨張座標系)における相対論的抵抗性磁気流体力学に対する高解像度コードの開発を完了し[Nakamura, Miyoshi, Nonaka, and Takahashi, The European Physical Journal C]、世界に先駆けて電気伝導度を考慮したクォーク・グルーオンプラズマ(QGP)の動的モデルの構築に成功した。学際的応用研究として、高エネルギー原子核衝突系におけるQGP媒質および電磁場の現実的な初期条件のもとで、対称衝突系(Au-Au衝突)および非対称衝突系(Cu-Au衝突)における電磁流体力学的膨張過程の電気伝導度依存性などについて調査を行った[Nakamura, Miyoshi, Nonaka, and Takahashi, Physical Review C ]。さらには、指向流れおよび楕円流れに対するcharge-oddな寄与に関する調査を行い、電荷依存異方的流れがQGP媒質の電気伝導度抽出に適したプローブであることを明らかにした[Nakamura, Miyoshi, Noanaka, and Takahashi, Physical Review C]。また、昨年度まで進めてきた背景磁場効果を含むカイラルプラズマ不安定性の理論解析に基づき、新たに高密度カイラル磁気流体力学の高解像度3次元シミュレーションを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対論的磁気流体力学に対する既存の高解像度数値解法の性能を飛躍的に凌駕する革新的数値解法の発見・開発には至っていないが、既存の数値技術を組み合わせ、世界初のMilne座標系における相対論的抵抗性磁気流体力学に対する高解像度コードの開発を完了した。これにより、世界に先駆けて高エネルギー原子核衝突で生成されるQGP媒質の電気伝導度依存性に関する応用研究を展開した。これらの成果を3編の論文にまとめ、出版した。さらには、これまで進めてきたカイラルプラズマ不安定性の理論解析に基づき、新たにカイラル磁気流体力学に関するシミュレーションを開始した。理論解析の成果と合わせ、現在論文投稿準備中である。したがって、新たな学際領域開拓の挑戦は計画どおり進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、相対論的磁気流体力学に対する革新的高解像度数値解法について調査を行う。これまでの研究から、全く新しい基本解法の発見・開発にはこれまでとは異なる取り組みが不可欠との結論に至ったが、頑強な高次精度化手法については未だ検討の余地がある。今後は相対論的磁気流体力学数値解法に対する高次精度化手法を重点的に研究・開発する。また、世界初の高エネルギー原子核衝突系における相対論的磁気流体力学シミュレーションという大きな成果に続き、今後もさらなる高エネルギー原子核衝突に関する応用研究を推進すると共に、新たな学際的研究領域の開拓を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行を取り巻く状況は好転しつつあったが、完全には改善されず、計画していた研究打ち合わせや成果報告に関する出張を一部取りやめた。そのため、次年度への繰越予算が生じた。次年度使用額は成果報告出張旅費や論文掲載料など成果報告に関する経費に充当する予定である。
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