2020 Fiscal Year Research-status Report
Model-based longitudinal analysis of dynamic multi-modal higher-dimensional data
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20K11881
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井宮 淳 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (10176505)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テンソル / 多重線形解析 / 時系列画像 / 主成分分析 / テンソル主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベクトル空間における主成分分析では, 最適化関数を停留化し, 主成分を記述する主成分行列を計算する. このとき, 停留値がデータ集合の決める自己対称行列の固有行列になる. したがって, 特異値分解の算法を利用して容易に主成分を計算することが可能である. 3次元テンソルの主成分を, Tucker-3 分解に基づいて計算する場合には, 最適化関数を周期的に順次繰り返し最小化する反復法が利用される. そこで, 高次多次元画像のテンソル表現から, テンソル主成分を直接計算する緩和法を導き, 計算が簡便で近似精度の高いテンソル部分空間法を構築した. 旧来のベクトル形式のパターン認識法では, 標本化された高次多次元画像を超高次元のベクトルとして扱うため, 細胞や臓器の幾何構造や, 画像の周波数帯域間の相関を対象の認識・理解に援用するには観測者の対象に対する知識を必要としてきた. そこで, 臓器, 細胞, 材料の内部の幾何構造を考慮しながら解析・認識・分類・蓄積・検索・判別を統一的に行うためには, 対象依存データ解析手法に従って, 対象の幾何構造や階層構造をも保存したまま, パターン認識理論が適用可能な形式によって高次多次元画像を表現する必要がある. さらに, 高度な動的情報を抽出するためには, 経時変化を伴わないデータ集合の統計的処理である横断解析に加えて,経時変化を伴うデータ集合の統計的処理である縦断解析を高次多次元画像に適用する必要がある. また, 診療により新たに計測されるデータを統合して, 診断・治療計画の信頼度を向上させるために, 新たなデータを追加して辞書を更新する手法が必要である. 重線形型式の記述形式であるテンソルを利用して, 動的な高次多元高次画像の解析・認識・分類・蓄積・検索・判別を統一的に取り扱うことのできる体系を構築する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次元空間の各点の動きは四元数を使えば1つの量で表現できることから,高次3次元画像の時間変化量を,四元数を要素とするテンソルで表現できる.腫瘍成長運動・変形による局所変形場は,時間的に引き続く2画像の差異から計算できる.腫瘍の時間変化に伴う各点の変形による歪運動を記述するテンソルに部分空間法によって導出される部分空間の間の距離尺度を利用すれば,腫瘍が引き起こす臓器の大域的変形を抽出し,歪変形の類似性を計算でき, 縦断解析のための新たな指標を計算できる.一方,空間運動を記述する四元数は乗算に関し積の順序が交換できないため,積に関する非可換体の元を要素とする多重線形性を持つ.そこで, (1)オプティカルフロー法に基づく腫瘍成長の局所変形場の計算法の開発.(2)四元数を要素とするテンソルの特異値分解の堅固で高速な緩和算法の構築. (3)運動記述テンソルの特異値分解によって導かれる線形部分空間の幾何学的性質の解明. (4)線形部分空間の間の距離尺度を利用した運動の認識・分類・蓄積・検索・判別を統一的に適用する手法の構築. これら4課題を中心に, 非可換体上で定義されるテンソルによる運動解析法を構築している.
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Strategy for Future Research Activity |
動的な高次多次元画像に適用するために, 高次多次元画像の時間的変化を, 確率過程に関する輸送問題として定式化し, 縦断解析によって時間的変化を定量的に取り扱う手法を開発する. さらに, 認識過程における歪補正を情報等価変換として取り扱う手法を開発する必要がる. そのために, (1)輸送現象を離散化すると, 大型線形計画問題として表現することができる. 計画問題の規模は, 画像の解像度と次元が増加すると膨大になる. そこで, 滑らかに時間変化する画像では「近傍は近傍に輸送される性質」を利用した, 大型線形問題の規模を通常の計算機で求解計算が可能な規模の問題に分割して計算する手法の開発. (2)開発した求解法で求まった高次多次元画像間の輸送量によって, 高次多次元画像間の変化を統計的に評価し, 高次多次元時系列の縦断的変化を定量化する尺度の構築. (3)局所微小変動や局所歪は, 近似的には「近傍だけに影響する」性質を利用して, 局所的に輸送問題を解いて, 局所的な変動・変化を定量的に評価する尺度の考案. 3項目を中心に研究を進める.
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Causes of Carryover |
国際会議参加、国内研究集会への参加、研究発発表を中心とした旅費の支出がなかった。
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