2020 Fiscal Year Research-status Report
Odor sensing, feature extraction and its classification by machine learning and fabrication of small and lightweight e-noses
Project/Area Number |
20K11888
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大松 繁 広島大学, デジタルものづくり教育研究センター, 特任教授 (30035662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニオイ情報処理 / ニオイセンサ / ニオイ計測 / ニオイデータベース / ニオイ識別 / ニオイ識別器の小型軽量化 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間は五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)情報を巧みに活用して知的判断や行動を行っている。本研究では、嗅覚情報処理に焦点を当て、ニオイセンサの開発およびそれを用いたニオイ計測およびニオイデータベースの構築を行う。また、そのデータベースからニオイ特徴量を抽出し、ニューラルネットワークに基づいた知的信号処理を用いてニオイ識別を行う。さらに、ニオイ識別器のハードウェア化を行うとともにその小型軽量化を図る研究を行う。 初年度は2種類のニオイセンサを開発し、その特性について検討した。最初のニオイセンサは水晶振動子(QCM)の表面にニオイ吸着用の薄膜をゾルゲル法で塗布し、付着したニオイ分子の重量変化による水晶振動子の固有振動数の変化を計測する水晶振動子ニオイセンサを開発した。使用した水晶振動子は20メガヘルツの市販水晶振動子を覆っている金属製カバーを取り外して、実験を行った。 つぎに、P型金属酸化物半導体の酸化還元反応による抵抗変化を回路電圧の変化に変換する半導体ニオイセンサを作製し、その特性について計測した。また、特定のガス検知に使用されている市販の金属酸化物半導体のニオイセンサも購入し、本研究で作製したニオイセンサとの精度比較を行った。その結果、本研究で作製したニオイセンサは市販のニオイセンサとほぼ同等な精度を有していることが確認できた。ただし、市販のニオイセンサは種類が少ないため、多くのニオイに対応することが困難であるが、本研究で開発したニオイセンサは酸化還元反応の異なる様々な溶媒を用いることで、様々なニオイに対して反応可能なセンサを作製することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニオイセンサとして、水晶振動子の表面にゾルゲル法を用いて吸着膜を塗布する技術はほぼ確立できたが、膜厚を一様にする技術は溶液中に浸している水晶振動子を引き上げるために、引上げ速度を制御する技術の確立が必要で、本研究では比例+積分+微分(PID)からなるPID制御を用いた。PIDゲイン決定法が試行錯誤であったので、その決定法の確立が求められている。 つぎに、P型金属酸化物半導体ニオイセンサの作製で高温電気炉の中で材料を混合することが必要になるが、この混合過程のバラツキが製品の性能の良否に大きく影響するため、混合技術の改善が求められている。 以上の2点を改善できれば、本研究で提案した手法はニオイセンサを作製する代表的なものになると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進として、2020年度に開発したニオイセンサを用いてニオイ計測を行い、ニオイデータベースの構築を行う。データベースに関しては、具体化するスキーマの設計およびディスクボリュームへの配置と運用上の設計手順を考慮した大規模データベースの構築の手順で作成する。 最終年度には、深層学習によるニューラルネットワークを援用して、ニオイの特徴量を抽出し、ニオイ識別を行うとともに小型軽量なE-noseを作製する。
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Causes of Carryover |
物品費として計上していた高性能マッフル炉とパーミュエータ装置は広島大学内で再利用可能な優れた機器が有ることが分かり、実験システムの構築に不要であることが分かったことおよびコロナの蔓延で国内外の移動が困難な状況で旅費が利用できにくくなったことで計画に齟齬が生じた。コロナが長期化し、状況が変わらない場合は、テレワーク用のシステム機器などの情報機器を購入に変更したく思っている。
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Research Products
(9 results)