2020 Fiscal Year Research-status Report
音響計測・音響制御におけるロボティクス技術の利用に関する基礎的研究
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20K11895
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
大川 茂樹 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40306395)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音響工学 / ロボティクス / 室内音響 / 音響計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、音響工学の分野でこれまでは専ら人間の経験的な知見や技術に基づいて行われてきた音響計測や音場制御において、ロボティクス技術を利用することで自律化・効率化が行えないか検討することを目標としている。 実施初年度の令和2年度は、まず、ロボティクスによる快適な音環境の構築を目指して、対象とする室(空間)の音響的計測を行うロボットおよび吸音材や音響反射板に代表される受動的な装置を駆動系によって制御するロボットのプロトタイプ開発を行った。さらに、これらを用いて、人にとって快適な音環境を実現できるか具体的な検討を試みた。どのような音環境が快適であるかはその室の用途によって異なるが、今年度は対象とする室を会議室などの小規模空間に限定した。これらの空間における快適さは会話のしやすさとし、音声の明瞭度などの数値的な評価、また印象評価実験などを通じてこの問題を明らかにした。 次に、ロボティクスを用いたサラウンドシステムの構築のために、超指向性を持つパラメトリックスピーカにより発せられた音を室壁面に反射させることにより、仮想音源を聴者の背後や側面に生成するシステムを開発した。このシステムは、室形状を得るセンサ系およびパラメトリックスピーカを駆動するアクチュエータ系によって構成した。この手法により、従来のサラウンドシステムと同様に周囲から音が聞こえる環境を再現できれば、これまでの制約(スピーカの配置やスイートスポット)をなくすことが可能となる。聴取実験を行い、受聴者には知覚した音像の幅や位置、方向を記述した「音像マップ」を作成させた。得られた音像マップにより周囲からの音が再現できたかを評価した。 以上の研究成果は、主として日本音響学会研究発表会において発表・公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初予定していた実験をすべて実施することができなかったが、概ね順調に研究を遂行できたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる令和3年度は、初年度の目的に加えて音環境理解や音環境デザインの観点に立ち、小規模空間におけるロボティクスの応用手法についても検討する予定である。1年目に引き続き、新型コロナウイルスの影響により実験室や実験環境の使用に制限があるものの、可能な方法を検討したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初予定していた一部の実験ができなかったことと、学会参加等のための出張をとりやめたため、一部の使用額を翌年に繰り越した。 繰り越した金額については、令和3年度中に、当初1年目に購入予定だった物品のうちレーザレンジスキャナおよびソフトウエアの購入に充てると共に、新型コロナの状況に応じて学会発表のための出張旅費としても支出する予定である。
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Research Products
(6 results)