2022 Fiscal Year Research-status Report
ドライビングシミュレータ操作時の視線データによる映像酔い評価の指標開発
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20K11905
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
藤掛 和広 中京大学, 心理学部, 講師 (90508467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 宗樹 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40398855)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視線データ / 映像酔い / データサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦は超高齢社会であることから,高齢ドライバの事故予防に関連する研究は多くなされている.高齢ドライバに関する研究では,実車両や一般道での調査やドライビングシミュレータ(以下,DS)の利用がなされている.DS を利用した実験のメリットは「事故やトラブルのリスクが少ない」「状況場面の設定・再現が容易」「実験条件の調整が可能」等が挙げられるものの,デメリットとして「映像酔いの発生」が挙げられる. 映像酔いは,乗り物酔い等と同じ動揺病の一種と見なされ,視覚情報に起因する動揺病は視覚性動揺病と分類される.映像酔いの症状として,酔いによるふらつきが発生すると,眼球は視界を傾けない様にする為に,ふらつきとは逆方向に眼球が回旋すること(眼球回旋運動)が知られている. 本研究の目的は,非接触型の視線計測機器によって計測した視線データを用いて映像酔いの評価指標を開発することで,DS 実験の負担軽減を実現し,さらに映像酔いの早期発見の手法の確立を目指すものである.また,非接触型の視線計測機器を利用することで,自動運転車両のドライバモニタへの技術転用などの発展も期待される.本研究で開発する映像酔いの評価指標は,データサイエンスのアルゴリズムによってDS実験時の視線データに含まれる眼球回旋運動の成分を抽出することで,映像酔いを定量的に評価するものである. 2022年度の研究では,若年層の視線データを対象とした解析によって,より精度の高い映像酔いの評価システム開発を実施した.詳細は【現在までの進捗状況】に記す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では,2020年度および2021年度は若年者の視線データから評価指標を開発する予定であった.しかしながら,新型コロナウイルスの蔓延予防のため,2020年度および2021年度は多人数の実験は延期した.また,新規の実験実施は新型コロナウイルスに罹患するリスクが懸念される.このことから,これまでに予備実験で取得していた高齢者9名の視線及び重心動揺データの解析を行った.2020年度はDS 操作時の視線データを解析し,2021年度は視線データを対象とした機械学習による映像酔い評価システム開発について取り組んだ.この措置は,申請書で次年度と次々年度に実施する内容の一部を,前倒しで実施した. 2022年度は,2020年度および2021年度に実施予定だった若年者の安静時及び映像注視時の視線データから評価指標を開発した.2022年度は,安静時及び映像注視時での映像酔い評価指標を開発し,その有効性を示した. しかしながら,新型コロナウイルスの蔓延を考慮して国際会議等での発表・議論が十分にできなかったことから,研究期間を延長して研究成果を広く公表すると共に,今後の研究につながる知見を収集する.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究計画では,2020年度および2021年度は若年者の視線データから評価指標を開発する予定であった.しかしながら,新型コロナウイルスの蔓延予防のため,2020年度および2021年度は多人数の実験は延期した.また,新規の実験実施は新型コロナウイルスに罹患するリスクが懸念される.このことから,これまでに予備実験で取得していた高齢者9名の視線及び重心動揺データの解析を行った.2020年度はDS 操作時の視線データを解析し,2021年度は視線データを対象とした機械学習による映像酔い評価システム開発について取り組んだ.この措置は,申請書で次年度と次々年度に実施する内容の一部を,前倒しで実施した.2022年度は,2020年度および2021年度に実施予定だった若年者の安静時及び映像注視時の視線データから評価指標を開発した.2022年度は,安静時及び映像注視時での映像酔い評価指標を開発し,その有効性を示した. 今後の予定としては,2022年度に十分に実施できなかった国際会議での発表や議論によって,今後の研究に資する知見を醸成する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延を考慮して国際会議等での発表・議論が十分にできなかったことから,研究期間を延長して研究成果を広く公表すると共に,今後の研究に資する知見を醸成する.
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Research Products
(3 results)