2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Haptic Sensing System for Control of Hand Proetheses
Project/Area Number |
20K11906
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
王 鋒 前橋工科大学, 工学部, 教授 (80323046)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 能動義手 / 触覚せんさ / 運動意思識別 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、事故や病気などの原因で前腕を失った前腕切断者の生活の質QoLを向上するために、前腕切断者に装着している能動義手を制御するための新たなヒューマン-マシン・インタフェースを開発するものである。具体的に、機能性材料ポリフッ化ビニリデンPVDFの圧電効果を利用して新たな触覚センサを開発し、この触覚センサを利用して、義手使用者の残存断端表面の形状やテンション変化等の触覚性状に関する信号を取得し、さらに人工知能の技術を駆使してこちらの触覚性状に関する信号から、義手使用者の運動意思を読み取り、能動義手に伝達して、義手使用者の意思通り自由自在に能動義手を動作させる新手法を開発する。令和2年度に、以下の研究内容を実施した。 (1)従来の研究知見をもとに、機能性材料P V D Fを用いた触覚センサを改良し、センサ受感部、センサベース部およびセンサ駆動部の形状、構造、材質の設計と、センサ出力の前処理電子回路の設計などを行い、センサ本体、センサ出力前処理電子回路等のハードウェアを構築し、触覚性状を検知する触覚センサを開発した。 (2)健常の被験者に対して前腕の表面触覚性状の検知実験を行った。開発された触覚センサを健常な被験者の前腕部に装着し、手の6種類の動作を行う時に前腕部においてテンション、形状等の触覚性状の変化データを収集した。 (3)運動意思識別システムの構築:上記実験のデータを用いて、収集された触覚性状の情報から運動意思を表す特徴量を検討した。さらに人工知能技術を駆使してこれらの特徴量を識別できる機械学習のアルゴリズムを構築し、各アルゴリズムの識別精度、学習速度等の比較研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)センサ構築:従来の触覚センサ開発についての知見をもとに、新たな触覚センサを開発した。異なるセンサ構造、寸法をテストし、センサの感度を保ちながらダウンサイジングを試みた。実験の結果、従来センサの4分の1のサイズでも十分の感度を持つ新しいセンサを開発した。 (2)データ収集実験:新しいセンサを健常な被験者の前腕部に装着し、手の「開き」、「握り」、「回内」、「回外」、「伸展」、「屈折」の6種類の動作を行い、その際に被験者前腕部の筋の運動に伴い発生した皮膚表面のテンション、形状等の触覚性状の変化を記録した。また、データ収集実験を行ったとき、センサの最適な装着部位、装着方法も検討し、さらに複数センサ使用の場合の最適な装着部位等も模索した。なお新型コロナウイルス感染防止のため、当初予定の多人数被験者に対する大規模のデータ収集実験は実施出来ず、研究グループメンバーのみに対して小規模なデータ収集実験を行ったが、本研究の遂行に大きな支障はなかった。 (3)運動意思識別アルゴリズムの研究:上記データ収集実験に取得した触覚性状変化データを用いて、運動意思を表す特徴量を検討し、これらの特徴量の識別方法を研究した。予備研究に利用した積層自己符号化器(SAE)の他に、他の筋電義手研究に利用されている活性化関数を正接双曲線関数とする誤差逆伝播法ニューラルネットワーク(BPNN)、k-近傍法(k-NN)、核関数を動径基底関数とする非線形サポートベクターマシン(SVM)を加え、各識別方法の識別精度、学習速度、実行速度等の比較を行った。その結果、いずれの識別方法を使っても、本研究で開発した単一の触覚センサより6動作に対して9割程度の識別精度が得られたが、識別器の学習速度においては、サポートベクターマシンと積層自己符号化器はより優れていることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度から以下の内容を行う予定である。 (1)センサハードウェアの改良:特に実用化に向け、センサ本体の構造、基材などの最適化を模索し、センサの高感度小型化を目指す。また、センサの装着性なども検討する。また、センサ出力の信号コンディショニング回路の小型化も行う。 (2)複数センサの使用により複合動作の識別を検討する。単一動作でなく、複合動作の識別を可能とするために、複数センサ(2〜3個のセンサ、最大4個まで)の使用を研究する。その際システムの実用化条件を目指し、センサ装着の便利性と識別精度の高さを総合的考慮して最適な装着部位の配置などについて模索する。 (3)運動意思識別器の改良:複数センサを用いた条件下で複合動作の運動意思を識別可能な識別器を構成する。その際、複数センサの出力の結合方法、多入力識別器の性能について検討し、学習速度、識別演算量と識別精度を総合的判断し、最適な識別器を構築する。さらに実用化を目指し、現在使用のワークステーションの代わりに、マイクロプロセッサーを利用してリアルタイム的に実行可能なアルゴリズムを構築する。 (4)より多くの被験者に対して、性能確認実験を行う。実験の結果に基づき、上記(1)ー(3)の内容を繰り返し、センサのハードウェアと運動意思識別器ソフトウェアの両方の改良改善を行う予定である。上記内容の進捗状況に応じて、義肢装具士の協力のもとに、前腕切断者の被験者に対して性能確認実験を行い、以上の実験を経て繰り返しシステム改良改善を行い、義手使用者の意思通り自由自在に能動義手を動作させるヒューマン-マシン・インタフェースである本センサシステムの完成を目指す。
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Remarks |
2021年電気学会東京支部栃木・群馬支所合同研究発表会において研究チームメンバーの学生の「能動義手制御のための動作判別アルゴリズムに関する研究」と題する論文発表が優秀発表賞を受賞した。
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Research Products
(4 results)