2021 Fiscal Year Research-status Report
当事者意識を喚起する災害および避難に関する情報提示デザイン
Project/Area Number |
20K11911
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
泉 朋子 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70551505)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 避難行動支援 / 防災 / 情報デザイン / インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,災害発生時の避難行動を促すために,情報の受け手に当事者意識を喚起させるような情報提示デザインを提案することを目的としている.既存の情報表現の問題点を整理し,端末所持者の周辺環境と状態を考慮した情報提供デザインを検討する. 本年度の成果として,昨年度に取り組ん避難行動を起こした被災者を対象とし,適切な避難行動を促す情報提示についての研究成果を発表した.一つは避難者に避難経路を提示する際には,避難者が受け入れやすい避難経路を提示するべきと考え,ユーザの嗜好を入力として受け取り,複数の心理的要素を考慮した避難経路を提示する手法に関する成果である.道路の混雑度や道路幅など避難時の心理に影響を与えると考えられる複数の要因を考慮した避難経路を求めるためにGA(genetic algorithm)を用いた.得られた経路に対する主観評価などを行った成果を国際会議で発表している.また,避難をしている際の行動支援として,スマートウォッチを対象とした適切な避難行動を促す情報提示に関する研究成果を発表した.災害時に避難をする場合には時々刻々と災害状況が変化するため,避難者は適応的に行動をする必要がある.避難者が外部の状況から適応的に行動を選択しつつ避難所の方向を見失わないようにするために必要な情報の要素について検討した.本成果についても国際会議で論文を発表している. また,本年度は個々人が所有している携帯端末を利用して,携帯端末で取得できる位置情報やセンサ情報を活用して当事者意識を喚起するテキスト表現について検討した.特にGPSから取得できる位置情報とセンサから取得できる所持者の状態情報に焦点を当て,どの程度の具体性のある情報提示であれば,所持者に向けられた情報であると認識されるのかを検討した.本研究についても成果をまとめ,今後研究発表をする予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に津波の到達が予想される状況下において,情報端末に提示するテキスト表現のみに対象を絞りつつも,既存の情報提示の問題点,および避難行動を誘発するテキスト表現の特徴について検証した.また今年度には避難行動支援や,当事者意識を喚起するテキスト表現について検討をしており,検討そのものはおおむね順調に遂行できている.しかし一方で,コロナ禍であるために実験協力者に参加してもらう実験が計画通りには遂行できていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に既存の情報提示のデザインと新たに提案した表現について比較検証し,既存の表現の問題点と提案した表現の効果を示した.また今年度は,特にGPSや各種センサ等を利用し携帯端末所持者の位置や状態を把握し,端末所持者の周辺環境情報,所持者自身の状態情報を利用し当事者意識を喚起する表現を検討しその効果を検証した.本年度はこれらを学会で報告し専門家からの意見を収集し,さらに研究を進める.また,特に今回の研究では得られた情報を表現する方法として緊急速報メールを模したかたちでテキスト表現を主に検証を行った.しかし,情報提示にはテキスト表現以外にも画像や音など様々なメディアを組み合わせた表現が考えられる.今後は他のメディアも活用した当事者意識を喚起する情報提示について検討しその効果を検証することを目指す.
|
Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウィルスの感染拡大により行動の制限が要請されたことを受け,実験協力者を募集し実験地に来てもらい検証実験を行うことや,成果発表のための出張ができず,オンライン開催の学会に参加したものの旅費や謝金が余ることとなった. 本年度は昨年度よりは行動制限が緩和されることが期待でき,実験協力者による実験は実施できると考えられる.今後は協力者に提案した情報デザインを実際に提示した検証が行えるよう,必要な備品を購入するなど環境を整える.そのため,これらの環境整備にかかる費用や旅費,謝金は今後必要である.
|
Research Products
(2 results)